インタビュー
» 2007年05月17日 21時18分 公開

ポイント制の導入で、株主優待の魅力を高める――ベネフィット・ワン

株主優待と言えば、自社製品などを提供するか、配当金が思い浮かぶ。しかしポイント制導入&アウトソースによって、より魅力ある株主優待プログラムを提供できる、という会社がベネフィット・ワンだ。新サービスの狙いを聞いた。

[土肥義則,Business Media 誠]
ベネフィット・ワン、インナーインセンティブ事業部の小笠原慎部長

 「第2の通貨」とも言われるポイントカードがあふれかえっている。さらにポイントと電子マネーが交換できるなど、見えない通貨が複雑に行き来している状態だ。そんな中、福利厚生代行のベネフィット・ワンが「ポイント制株主優待サービス」を始めた。保有株式数に応じてポイントを付与し、それを商品などに交換できるシステムだ。

 個人株主を確保するため、株主優待や増配に力を入れる企業が増えている。この新しいサービスは、企業にとってどう映るのか。事業を立ち上げたインナーインセンティブ事業部の小笠原慎部長に話を聞いた。

 ――御社が始めた株主優待サービス「インセンティブ・カフェ」には、どのような狙いがあるのでしょう。

 「ポイント制の株主優待で、株主はサイト『インセンティブカフェ』にアクセスし、自分のポイント数に対して、優待品を選ぶことができるサービスだ。ポイント管理や優待品の清算まで一括して行う。

 上場企業数が約4000社ある中で、株主優待を実施している企業は1000社を超えている。株主優待を導入している企業は年々増えていて、その理由は、個人投資家の獲得のためだ。ただ、個人投資家の獲得には有効な株主優待だが、導入にはいくつかの問題があるようだ。

 1つ目にBtoB企業には優待品がないケースが多いため、BtoC企業(企業と消費者の取引)に個人投資家の獲得競争で負ける可能性がある。2つ目に、優待品の種類が限定されているため、株主の好みとミスマッチを起こす可能性があるだろう。そうなれば企業は商品の購入代金や、輸送量などのコストが無駄になるかもしれない。3つ目は、優待品が単年度消化のものが多いため、長期に保有している株主にとっては、メリットが少ない」

「売らない株主」確保が強み

 ――個人投資家は、どういう点で優待品に期待していますか。

インセンティブ・カフェが「売らない株主」の増加につながるという

 「個人投資家が企業の株を買う動機は、いろいろあるだろう。そのなかで決め手になるのは、企業の株価が上がること、配当が良いこと、株主優待が魅力的なこと、などが大多数ではなかろうか。ある調査でも、個人投資家の投資動向について『新たな収益源』が断トツでトップだった。続いて『貯蓄手段として』、3番目に『株主優待を利用するため』だった。企業側にとって投資家獲得の基本は「買う投資家』の獲得と、『売らない株主』の確保だ。

 インセンティブ・カフェの強みは、売らない株主を増やすことにあるのではないか。例えば、3年間株を保有していれば、ボーナスポイントを付けることができる。ポイントを貯めることによって、高額な優待品を手にすることも可能になり、株主にとっては選択肢が広がるはずだ。

 さらに、ポイントの分割利用という使い方もできる。選んだ商品に対し、余ったポイントについては翌年に持ち越すことができる。うまく活用すれば、長期保有株主の増加にもつながるだろう」

在庫品を利用して、2000点の優待品を用意

 ――すでに保有株主数に応じて、商品と交換できる企業もあります。

 「独自に商品と交換したり、カード会社と提携している会社もあるが、『インセンティブ・カフェ』の最大のメリットは、優待品の数が多いことだ。家電やレジャー、高級車など約2000点を用意し、現在も優待品を増やしている。さらに、福利厚生の代行会社として培ってきた過剰在庫品のネットワークを活用している。ホテルのスイートルームやファーストクラスの航空券、世界1周旅行など、ほぼ半額程度で株主に提供できるだろう。ポイントの価値は会社で決定できるため、例えば10万円の宿泊費を4万円で仕入れ、5万円のポイントで交換することができる。

 また個人投資家向けだけではなく、機関投資家にとってもメリットがある。例えば優待品がお米だった場合、(会社に)大量に送られてきても困ってしまうだろう。置く場所の確保などを考えると、邪魔になることもあるからだ

 2006年10月に、このサービスを始めたので、まだ契約に至った企業はない。ただ提案して回るなかで、反応は悪くない。『こんなサービスがあるのか』といった驚きの声が多いので、今後に期待している」

他社ポイントやマイルとの交換も検討

 ――インセンティブ・カフェを始められたきっかけは。

 「もともと福利厚生の一環として、ポイント交換を企業の社員報酬制度などに使ってきた。例えば、目標達成の“ご褒美”として、現金や商品券などを渡すのではなく、ポイントを付与するものだ。もちろん使い方は自由で、そのポイントを商品に代えたり、貯めて高額なものを手にすることもできる。もちろん企業側は安く商品を仕入れることができ、従業員は高額なものを手にすることができる。この仕組みを利用して、株主優待にポイントを導入した。

 あと個人的な話だが、デートに行った時、手持ち資金が5000円しかなかった。それを1万円にする方法はないのか。ポイントの交換を活用して、お金の価値を高めることはできないか。そんなことを考えながら……極めて個人的な発想だが(笑)」

 ――今後の事業展開と、構想などがあれば教えてください。

 「健康保険組合が組合員に対し、「1キロ痩せたら」「毎日歯を磨いたら」といった項目を達成したら、ポイントを付与していく。このサービスを6月からスタートする。さらにパートやアルバイトを数多く雇用している会社にとっては、できるだけ長く勤めてもらうことが課題となっている。そこで勤務状況に応じて、ポイントを付与するサービスを始める予定だ。

 まだ検討段階だが、航空会社のマイレージにも興味がある。例えば、ポイントを使って航空券に引き換えたお客が、余ったポイントを宿泊施設で利用する。その宿泊を弊社のサービスで、利用できるようにしたい。

 ポイント交換をする会社はたくさんあるが、最終的に何か物などを手にできるサービスを、たくさん提供していきたい」

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