第3のビール、今年は微増の見方

» 2007年06月11日 10時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 夏本番を控え、ビール業界は“本番”の熱い商戦を繰り広げている。今年注目なのがビール、発泡酒に続く新ジャンル、第3のビールだ。正しくはビールではなくビール風味の発泡アルコール飲料と呼ぶべきものだが、低価格が受けて人気が高まっている。

サッポロビールは「W-DRY」を新発売

 サッポロビールは6月8日から、第3のビールの新商品「サッポロW-DRY」キャンペーンを展開、クイズに答えると3000人に350mlの6缶パックをプレゼント。また「W-DRY」を飲んだ感想を自身のブログで公開し、サッポロビールのサイトにトラックバックをした人の中から300人に350mlを1ケース進呈する。

 これまで第3のビールにはなかった「ドライタイプ」で、サッポロビール広報部では「ズバッとキレる飲みごたえが特徴」だという。2003年9月に同社は「ドラフトワン」を発売、業界で初めての第3のビール商品だった。今回の新商品の投入によって、第3のビールは4種類となり業界最多となった。サッポロビールでは、第3のビールの目標販売数を2150万ケース(633ml・20本)としている。


シェアトップのキリンは「良質素材」を投入

「良質素材」を発売したキリンビール

 第3のビール市場でトップシェアを誇るキリンビールは5月23日から、新商品「良質素材」を発売した。キリンビールでもキャンペーンを展開しており、クイズに正解すると1万人に良質素材350mlを2本プレゼントする。

 昨年、第3のビールの総販売数は約9460万ケースだった。キリンビールは「のどごし〈生〉」だけで3890万ケースを販売、今年は「良質素材」を加え、4310万ケースを目標にしている。


アサヒビールの主力商品「極旨」

 アサヒビールは3商品(新生3、ぐびなま、極旨)の中味とパッケージデザインを一新した。キャンペーンなどは実施せず、「飲みやすさという味で勝負する」(広報部)構えだ。主力商品である「極旨」は1〜4月で43万ケースを販売し、好調な滑り出しだという。第3のビールは2割増の売上を見込んでおり、今年は2600万ケースを目標としている。


サントリーは新商品「金麦」を発売

 サントリーは6月19日から、第3のビールの商品「金麦」を新発売する。麦芽のうまみを引き出し「コクとうまみ」が特徴という「金麦」に加え、従来からある「ジョッキ生」「SUPER BLUE」の3商品で勝負する。


売上予測は「微増」

 ビールと発泡酒を合わせた総市場構成比を見ると、第3のビールは昨年19.3%まで拡大した。「そのためビールと発泡酒の売上は下げ続けてきたが、今年は微減ではないか」(サッポロビール広報部)という。しかし、今年の第3のビールの売上は「微増」だと各社では見ており、急速な勢いも鈍りそうだ。「ビール、発泡酒、第3のビールの構成比は安定するだろう」(キリンビール広報部)と分析している。

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