文房具を買うときに、それが地球に優しいエコ商品かどうか、気にしたことはあるだろうか?
トンボ鉛筆は9月に公開した「環境報告書2007」の中で、「エコマーク商品の売上高が全体の50%を上回った」ことを明らかにした。「文具の世界でも、環境配慮商品になっているかどうかが当たり前になってきた」と同社広報部は話す。
実際には、環境への配慮を表す表現は複数あって、それぞれに基準が異なる。よく耳にするのは、「エコマーク商品」「グリーン購入法対象商品」「グリーン購入ネットワーク」「グリーンマーク」など。この中でもエコマーク商品は最も基準が厳しいといわれている。
「市場シェアのトップ30%が守っていることを想定して基準を作っている」と、エコマーク認定などを行う財団法人日本環境協会は説明する。全体のレベルが上がると基準も厳しくなるというわけだ。5年に一度改訂を行うほか、この基準で随時見直しを行う。
一方で、国などの公共機関が品物を調達する際に、環境へ配慮した品物を選択しなくてはならないのがグリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)。エコマークは「グリーン購入法と整合性を取るようにしている」としており、エコマークが付いていれば、ほぼグリーン購入法対象だと思っていい。
グリーン購入法対象でもエコマーク商品が付けられないのはどんな商品なのだろう。例えばトンボ鉛筆の主力商品である消しゴム「MONOシリーズ」がそうだ。MONOの主成分は塩ビだが、「素材に塩ビを使っていいのはグリーン購入法だけ。エコマークでは回収が可能ならば塩ビを使ってもいいことになっているが、消しゴムでは……」(トンボ鉛筆)
ただしエコマークも随時認定基準を見直している。例えば修正テープ。テープ部分の素材にプラスチックを使うのだが、「これまではプラスチックの比率が高くなってしまいエコマークが取れなかった。巻き数が多いほうが環境に優しいはずなのだが、逆の基準だった。2004年に改訂があって、消耗品部分は認定基準から除けるようになり、現在でいえば(当社の)修正テープでは1つを除き、すべてエコマーク商品になっている」(トンボ鉛筆)。
さまざまな基準があるなかで、独自基準を定め、積極的に環境への配慮を進める企業もある。文具大手のコクヨもその1つだ。「グリーン購入法、エコマークといってもユーザーにはなかなか分かってもらえない」(コクヨ広報部)ことから、独自に「エコプロダクツ製品」という基準を作った。
現在、同社の製品のうち、3万品目がエコプロダクツ基準に適合しているという(エコマーク商品は1万8000品目、グリーン購入法適合商品は2万8000品目)。
省エネ、再生材料、代替材料といった一般的な環境配慮の観点に加え、EUによる有害物質の使用制限である「RoHS指令」についても配慮しているのがコクヨの特徴だ。RoHS指令は基本的には電子・電気機器における制限だが、「気にする企業が増えてきた。コクヨでも欧州向けのスタンプ台などで配慮している」という。
現在のところ、グリーン購入法やエコマークは「企業では購買における大きな要素になってきている」(コクヨ)状況だ。そうはいっても環境よりコスト──という企業もあるし、個人向け商品においてはエコマークを取れないものもある。「高級品では、デザイン上、金属などを使っていて再生材料が使えない」(トンボ鉛筆)という事情があるからだ。
かっこいいデザインの文具もいいが、環境にやさしいかどうかで文具を選ぶのも悪くない。まずは購入するときに、エコマークが付いているかどうか、気にしてみてはどうだろうか。
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