中国に渡航する日本人を狙え――「三井住友銀聯カード」発行

» 2007年12月19日 00時03分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 三井住友カードは12月18日、「三井住友銀聯(ぎんれん)カード」の発行を開始した。ターゲットは中国へ旅行したり、中国に長期滞在する日本人だ。三井住友銀聯カードのユーザーは、中国全土でクレジットカードが利用できる。日本のカード会社が銀聯ブランドのクレジットカードを発行するのは初めて。初年度で5万人の会員獲得を目指す。

 中国銀聯は、中国における銀行間決済ネットワークを運営する会社である。銀聯カードは中国の銀行が発行するキャッシュカードに付与されたブランドで、中国国内の加盟店は約67万店舗。VISA、Masterといった国際ブランド加盟店(約20万店)は銀聯の加盟店ネットワークの上に載る形で運用されている。

中国銀聯の許羅徳総裁(左)と三井住友カード社長の月原紘一氏(右)

カードデザインは2種類

 三井住友銀聯カードは年会費無料のクレジットカード(新規入会時に発行手数料2100円と、5年ごとに更新手数料1050円が必要)。18歳以上であれば入会できる。決済方法は日本円建てで、1回払いのみ。また、ショッピングのみでキャッシングはできない(ATMは利用できない)。

 三井住友銀聯カードは単独発行となるので、すでに三井住友カードを持っているユーザーは、オプションカードではなく、新たに三井住友銀聯カードを発行することになる。ただし、与信枠とワールドプレゼントポイントは既存の三井住友カードと合算するという。

カードデザインは「Continent(大陸)」と「Panda(パンダ)」の2種類

今や、日本人が最も多く渡航している外国は中国

 背景としては、日本と中国を行き来する人口の増加がある。中国を訪れる日本人は年間375万人で、米国を抜き最多の渡航先となった(2006年実績)。長期滞在者も米国に次ぎ12万人と多い。逆に日本を訪れる中国人は年間約81万人おり、日中には年間約450万人の交流人口があることになる。三井住友カードと中国銀聯の提携は、この相互交流を後押しするものだ。

 銀聯カードは、中国国内で約13億枚発行されており、内訳はデビットカードが12億7000万枚、クレジットカードが3000万枚。三井住友カードは2005年に中国銀聯と提携し、これまで銀聯カードを取り扱う加盟店を日本国内で開拓してきた(現在約8400店舗)。いわば中国人が日本でクレジットカードを使える場所を作ってきたわけだが、今後は中国に行く日本人に向けて三井住友銀聯カードを発行していく。

 中国(香港、マカオ含む)以外での銀聯カードの発行は、シンガポール、カザフスタンを除く3カ国目となる。「中国人が外国へ行ってビジネスをするときのために、韓国、ベトナム、タイなどアジアの他の国でも銀聯カードが使えるところを増やす準備を進めている。また日本国内についても、三井住友カード以外のカード発行会社からのオファーがあれば拒むことはない」(許羅徳氏)

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