死亡者数は増えているのに、供養ビジネスが伸び悩む理由

» 2008年04月07日 20時10分 公開
[Business Media 誠]

 総務省統計局によると現在の日本の総人口(2007年10月1日現在)は1億2777万人、前年に比べ2000人増とほぼ横ばいの状態となっている。しかし出生児数110万1000人に対し、死亡者数は110万3000人と2000人の減少となり、人口減少社会に突入したといわれている。今後も少子高齢化が進み、人口減少が予想されているが、供養ビジネスの現状はどうなっているのだろうか?

 供養ビジネスとは葬儀サービスの提供や墓地霊園、仏壇の販売などを指す。死亡者数は増加しているものの、供養ビジネス大手5社(はせがわ、燦ホールディングス、サン・ライフ、平安レイサービス、ニチリョク)の業績は伸び悩んでおり、サン・ライフを除き、いずれも2006年度の売り上げは対前年比でマイナス。この背景には「核家族化や宗教離れといった阻害要因が大きな壁になっている」とデルタ・アイ・ディ総合研究所は分析している。

日本の人口、出生児数、死亡者数の推移

供養ビジネスの成長のカギは「新たな供養のかたち」

 今後も市場規模は拡大が見込まれるものの、宗教離れなどに歯止めをかけるのは難しいかもしれない。「さらに価格競争も激しさを増し、大手や中小を問わず、厳しい環境下にある」(同)。ただ2007年度の上半期を見ると、供養ビジネス大手5社の業績は、いずれも対前年比で売り上げを伸ばしている。

 業績が回復した要因として、供養ビジネスの“透明化”が関係している。「ここ数年、葬儀サービスの業者を選択する際、ネットを活用する人が多く、大手5社は価格を透明化したことで業績に反映した。今後は家族葬やお別れ会など、消費者の価値観やライフスタイルの変化に伴って『新たな供養のかたち」を普及させることが、供養ビジネスの成長のカギになるだろう」(同)と見ている。

供養ビジネス大手5社の2007年度上半期の業績

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