オリンピックでこれだけ盛り上がる日本は珍しい国?誠 Weekly Access Top10(2008年8月16日〜8月22日)

» 2008年08月26日 18時37分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 先週もっとも読まれた記事は、「高すぎる日系の航空会社――燃油サーチャージ金額差の“カラクリ”」。個人的にはこの記事の結論はあまりカラクリの説明になっていない気がしたものの、今海外への旅行を考えるとサーチャージ問題は避けて通れないだけに、この記事が気になる人が多かったのは納得の結果である。

 4位には先週のTop10記事である「旅先で韓国人女性と日本人女性を見分ける方法」がランクイン。Top10記事がランキング上位に入ることは少ないので、書き手としてはちょっと(かなり)うれしかった。気をよくして今週もトルコ旅行の話を書こうと思う。

オリンピック期間中もまったく盛り上がっていなかったトルコ

 先日、北京オリンピックが閉幕した。特にオリンピック前半は北島選手の金メダル獲得などで、毎日テレビを見ては大興奮していた……と書きたいところだが、実は記者は前半に行われた競技をほとんど見ていない。大体、北島選手金メダル獲得の瞬間すらいまだ動画で見ていないのである。

 理由は先週も書いたとおり、トルコに行っていたから。開会式の日に日本を出国し、ちょうど前半が終わるくらいのタイミングで帰国した。実はトルコでは、オリンピックはまったく盛り上がっていなかったのだ。

 さまざまな競技に選手が出場し、大規模な選手団を送っている日本に比べると、トルコはそもそもオリンピックに参加している選手の数が少ない。トルコが今回獲得したメダルの数は、金が1、銀が4、銅が3の計8個。トルコが伝統的に強い競技といえば、今回も66キロ級で金メダルを獲得した男子レスリング。もう1つ挙げるなら重量挙げといったところだろうか。

北京オリンピックのトルコ選手団の結果。メダルを獲得しているのは、レスリング、陸上、テコンドー、ボクシング

 イスタンブルのホテルに滞在中は毎日、新聞を読んでいたしテレビも観ていたのだが、相当一生懸命探さないとオリンピック関連の記事を見つけられないし、放送にも出くわさなかった。ニュース番組を見ていても、ロシアとグルジアの紛争はトップニュースだがオリンピックの話題はまず出てこない。

 部屋のテレビは20チャンネル以上映るのに、オリンピック関連の放送をしているのは1チャンネルだけ。内容はさまざまな競技の淡々とした実況で、トルコ人選手が出ていないことも多い(このあたり、日本のテレビとは大違いだ)。ホテルの近くにはスポーツバーがあり、ビールを飲みながらテレビ中継を見るトルコ人や観光客で賑わっていたが、黒板に書かれていたのは「今夜はフェネルバフチェ VS. ガラタサライを生中継!」。そう、サッカー大好きなトルコ人にとっては、オリンピックよりも、国内の人気サッカーチームの試合のほうがよほど重大事なのである。

オリンピックでこれだけ盛り上がる日本は珍しい国?

 そんなトルコを出て日本に戻ってみると、オリンピックは国民の最大の関心事になっていた。テレビを付ければNHKも民放も誰がどの競技で何色のメダルを取ったかを報じていたし、会社でも挨拶代わりに「今夜は絶対にソフトボールを見ないとね!」なんて話したりした。携帯を開けば「星野ジャパン、銅メダル逃す」などとニュースフラッシュが流れ、たとえ結果を知りたくなくても、話題の競技の結果は分かるという状態だ。

 「日本はトルコとずいぶん違うなあ」と思いながら、米国に取材に行っているライター氏とチャットしていたら「結局、今回のオリンピックって、日本では盛り上がっているの?」と意外な質問をされた。

 「私は前半を見ていないけど、始まってしまえばやっぱりすごく盛り上がってるよ〜」と答えると、「そうなんだ。こっち(米国)ではまったく話題に上らないんだよね。放送はしてるはずだから、見ようと思えば見られると思うんだけど」とのこと。……え、そうなの?

 そういえばトルコからの帰り道、トランジットのためにオランダの空港に立ち寄ったときも、ほかの日本人旅行客が「結局オリンピックはどうなったの?」「北島は金メダル取れたの?」なんて話しながら新聞を探していたっけ。

 もしかしてこんなに興奮状態なのは、東アジアだけなのだろうか。開催国の中国は当然盛り上がっているだろうし、韓国が盛り上がっていないとも思えない。

 残念ながら中国や韓国に知り合いがいないので、台湾に住む知人に尋ねてみたところ、「オリンピック? 全然話題になってないねぇ。タクシーに乗ってもそんな話は振られないし。北京は違うんだろうけど」との答えだった。もしかして、開催国でもないのにこれだけ盛り上がっている日本は、とても珍しい国なのかもしれない。

 最後に余談だが、トルコの新聞の1面を飾ったオリンピック関連のニュースが1つだけあった(しかも2紙で見かけた)。それは、開会式で歌を歌っていた少女は口パクで、実際の歌声は別の女の子だったという話題。あれだけオリンピックに興味がないトルコでも、この話題だけはニュースバリューがあったのだなあと思うと、驚きつつもちょっと笑ってしまった記者である。

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