これぞ民営化効果!? 高速道路サービスエリア最新事情神尾寿の時事日想・特別編(1/2 ページ)

» 2008年10月01日 19時00分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

 高速道路を使う時、何かとお世話になるSA(サービスエリア)・PA(パーキングエリア)。トイレ休憩や食事に欠かせない場所ではあるものの、これまではどことなくチープで、ホスピタリティとは無縁の場所だった。

 そんなSA・PAが、大きく変化しつつある。

 道路公団民営化の結果、SA・PAなど付帯施設の収益が各高速道路会社にとって重要性を増し、それに伴って“付加価値向上”の取り組みが次々と行われているのだ。

 そこで今回の時事日想は特別編として、西日本高速道路サービス・ホールディングスが“シンボリックエリア”と位置づける新たなSA「別府湾サービスエリア」ほか、九州各地のSA・PAを訪問。ロングドライブに欠かせないSA・PAの最新事情をリポートする。

デッキテラスに古民家を移築したレストラン、しかもトイレがきれい!?

 ゆったりと、快適な時間を過ごしてもらうためのサービスエリア。

 西日本高速道路サービス・ホールディングスが新たな高付加価値型サービスエリアの提案として、2008年10月25日にグランドオープンさせるのが、大分自動車道にある「別府湾SA」だ。

 ここは湯布院温泉で「山荘 無量塔」を経営する藤林晃司氏がプロデュースを手がけ、快適性はもちろん、建物のデザインやホスピタリティにもこだわった新たなタイプのSAである。そのため西日本高速道路サービス・ホールディングでは、別府湾SAを“シンボリック・エリア”と位置づける。

 筆者が訪れた時、別府湾SAは秋のグランドオープンに向けて2棟のレストランが改装工事中だった。しかし、軽食ラウンジやショッピングエリアである「玄林館」はすでにオープンしており、そこを中心に見て回ることができた。

別府湾SAの「玄林館」。店内は広く、明るい。デリカテッセンなども用意されている

 玄林館は別府湾SAの上り・下りの2カ所に設置されており、施設規模は493平方メートル、客席数は78席。全館が木造建築のデザインで統一されており、店内は暖色の照明でとても暖かな雰囲気だ。

 軽食ラウンジはスープやカレー、麺類に加えて、デリカテッセンも用意。特にカレーは別府湾SAの特製メニューになっており、人気があるという。食事は店内席のほか、眼下に別府湾が眺望できる屋内・屋外のテラス席が用意されている。天気のいい日は屋外のテラス席に出れば、海から渡ってきた風をほのかに感じながら食事できるだろう。

屋外のデッキテラス席。晴れた日には、別府湾の眺望が見渡せる

 一方、ショッピングゾーンでは、一般的なお土産物やコンビニエンス商品に加えて、地元の名店である「Sally Garden」の特設ゾーンも用意している。同店はシフォンケーキが有名で、本店以外に出店するのは別府湾SAだけだという。それだけに人気も高く、筆者が訪れたときには、ほとんどのシフォンケーキが売り切れ状態。「入荷しても、すぐに売れてしまう」(リ・クリエイト取締役 別府湾SA開発準備室の竹下 尚武氏)という。

地元の名店「Sally Garden」の特設コーナー。デザインへのこだわりは随所に表れている

 さらにもう1つ、別府湾SAで特徴的なのが「トイレのきれいさ」だ。写真を見てもらえば分かる通り、別府湾SAのトイレは清潔そのもの。デザインにも配慮し、高級ホテルのトイレのような快適性をめざした。男性の筆者は足を踏み入れられなかったが、女性用トイレも清潔感と高級感があふれる作りで、「高速道路のトイレはちょっと……」とためらいがちな女性にも満足できるように配慮したという。

別府湾SAのトイレ。ホテルのトイレのような清潔感がある。子ども用の便器と手洗いもあった

 別府湾SAのグランドオープンでは、これらの施設に加えて、新潟の古民家を部材として使った2棟のレストランが開店する。

 1棟は湯布院のイタリアンレストラン「artegio」とロールケーキ専門店「B-speak cafe」が入り、もう1棟は丼・お茶漬け専門店の「茜舎」と蕎麦処の「不生庵」が入る。いずれも地元の名店であり、artegioなどは「週末は予約必至の人気店」(竹下氏)だという。一般的なSAのレストランとは一線を画すクオリティだ。

別府湾SAにはキッズルームもある

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