JRグループ第4の交通ICカードとして、日本最北の政令指定都市・札幌に登場したJR北海道の「Kitaca」。ソニーが開発した非接触IC「FeliCa」(参照記事)をベースに、日本鉄道サイバネティクス協議会の共通規格を用いたKitacaは、JR東日本の「Suica」が切り開いた“交通ICブーム”の追い風もあり、順調な滑り出しを見せた。
今回の時事日想は前回のインタビューに続き特別編として、札幌における「Kitacaの今」を、写真を中心にレポートしていきたい。
→北海道に交通ICカード登場――Kitaca旋風どこまで続く?
先のインタビューでも紹介したとおり、Kitacaのサービスが利用できるのは札幌を中心とした55駅。これは「JR北海道の鉄道輸送数の約6割をカバーする」(北海道旅客鉄道鉄道事業本部Kitaca事業室長の一條雅弘氏)対象エリアとなる。現在は「Kitaca定期券」「記名式Kitaca」「無記名式Kitaca」の3種類が発売中だ。電子マネーのサービス開始は2009年春の予定であり、現在は鉄道利用のみとなっている。
KitacaはJR系の交通ICなので、駅に設置されているICカード用の設備は、東京や大阪で見かけるものと、ほぼ同じだ。磁気券とICカードの両方に対応したタイプであり、Kitaca専用自動改札は用意されていない。また、来春まではSuicaとの相互利用ができないため、リーダーライターの横には「Suicaは利用できません」との注意書きがあった。特に札幌駅の自動改札は「Suica・PASMO・ICOCAの利用はできません」と専用シールまで用意されている徹底ぶりだ。東京や大阪などから、出張や旅行で訪れる人の多い札幌ならではの光景である。
なお、札幌や札幌近郊の主要駅ではKitaca対応自動改札を導入しているが、「郊外駅では簡易Kitaca改札機を設置している場所もある」(JR北海道)という。
一方、Kitaca対応の自動券売機は、各駅ともに整備を進めている段階だ。いまだすべての券売機がKitaca対応になっておらず、駅によっては複数ある券売機のうち、1〜2カ所のみがKitaca対応といったところも見られた。Kitacaは現在、急速に普及枚数を伸ばしており、11月末には予想外の売れ行きで販売を一時中止するほどの人気ぶりになっている。Kitacaはクレジットカードからのオートチャージや、おサイフケータイを利用したオンラインチャージなどに対応していないため、カードの予想外の普及は「チャージ拠点」となる自動券売機の混雑を招く可能性がある。少なくとも電子マネーサービスが始まる来春までには、Kitaca対応自動券売機の設置台数を大幅に増やす必要がありそうだ。
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