ハワイの地ビール、オレゴンワインを通して日本に伝えたいもの――禎・アレン・ゴードンさん(前編)嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(1/4 ページ)

» 2008年12月06日 07時00分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

嶋田淑之の「この人に逢いたい!」とは?:

「こんなことをやりたい!」――夢を実現するために、会社という組織の中で目標に向かって邁進する人がいる。会社の中にいるから、1人ではできないことが可能になることもあるが、しかし組織の中だからこそ難しい面もある。

本連載では、戦略経営に詳しい嶋田淑之氏が、仕事を通して夢を実現するビジネスパーソンをインタビュー。どのようなコンセプトで、どうやって夢を形にしたのか。また個人の働きが、組織のなかでどう生かされたのかについて、徹底的なインタビューを通して浮き彫りにしていく。


海外旅行に行きにくい今だからこそ必要なビジネスとは?

ハワイ・オワフ島のシンボルともいえる「ダイヤモンドヘッド」

 好景気と円高に背を押され、かつて世界を席捲(せっけん)していた日本人観光客の姿は、ここ数年、世界各国で減少の一途をたどっている。

 日本人にとっては定番の観光地であるハワイも例外ではない。このところ、年率10%を超えるペースで減り続けているという。エメラルドグリーンの海、どこまでも青く高い空、照りつける陽光、肌にそよぐ涼風……鬱々とした気分や体調が続いていたのに、ワイキキの風に吹かれただけで、一気に元気になったという人は多い。筆者もまたその1人である。

 一度行った日本人の60%以上がリピーターになるハワイ。価格的にも時間的にも、欧州などよりはるかにお手ごろなハワイもまた、日本人観光客の減少が続いている。「行きたいんだけど、経済的に厳しくて……」という嘆きの声を多く聞く。

 ハワイに行きたいが行けない。そんな気分の人々は、どうやってハワイへの想いを満たせばよいのだろうか?

ワイキキビーチ

 フラダンス、ロミロミ、サーフィン、アロハシャツ、ハワイアンミュージックなどは確かに日本にもある。特にフラダンスでは、日本は世界最大のフラ人口を誇る(約100万人)。

 しかし、何かが足りない。それはハワイの「食」(フード&ドリンク)ではないか。今秋発売された「ミシュランガイド東京2009」でも、三つ星店の数がパリに並び、東京こそは世界最高の「食都」と自賛する人々もいる。しかし日本人が大好きなハワイの「食」がどれくらい日本に根付いているかというと、甚だ心もとない。

 「食」は、最も原初的な人間の営みである。食を軸にして、住空間やファッションが加わり、そこにライフスタイルが形成されてゆくという考え方もある。そういう意味で、日本には、ハワイのライフスタイルの最も重要なファクターが欠けている。フラやサーフィンを始めとする“ハワイ文化”も、それぞれバラバラに入ってきている感を否めない。

禎・アレン・ゴードンさん

 こうした状況を打破しようとしている人物がいる。米国籍で、GECO株式会社代表取締役の禎(てい)・アレン・ゴードン(Tei. A. Gordon)さん、38歳だ。

 ハワイで人気だが、日本では入手しにくい「コナビール」(Kona Brewing Co. ハワイ島コナで製造)の日本への輸出・普及を軸に、日本にいながらにしてハワイのライフスタイルを満喫できるような環境を日本に作っていきたいと流暢な日本語で語る。

 「これまでのように、プロダクトを売るだけのビジネスではいけません。それを通じて、ハワイの文化やライフスタイルを伝えること。そして、それが日本人のライフスタイルの1つとしてアクセプトされるようにすることが大切なんです」と。

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