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» 2008年12月10日 11時30分 公開

神尾寿の時事日想:「渋谷でだけ見られるワンセグ」――エリア限定ワンセグが話題になる理由 (2/2)

[神尾寿,Business Media 誠]
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4マス媒体の価値低下の中で、ローカルメディアに可能性

 今年に入ってから、これらエリア限定ワンセグが注目される背景には、4マス媒体※の価値と広告効果が低下していることがある。特に「テレビ」は、視聴者のテレビ離れと、ネット広告に比べて効果測定が曖昧という点がスポンサーに嫌忌され、その媒体価値が急速に下落している。今年、大手民放キー局が軒並み赤字となったことからも、それは明らかだろう。テレビをはじめとしたマス媒体の広告ビジネスは、多様性と実効性が重視される中で、時代遅れになってきている。

※4マス媒体…テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4媒体のこと

 このような4マス媒体の価値低下の中で、注目されてきたのが、デジタルサイネージやエリア限定ワンセグといった“特定のエリア”にひも付いたローカル性のあるメディアだ。これらはマスメディアに比べて低コストかつきめ細かな運用が可能であり、場所とテーマ性をきちんと結びつければ、マス媒体よりも高い広告効果・訴求効果が得られる。広告ビジネス全体が、露出重視から効果重視に移行する中で、新たなメディアの1つとしてエリア限定ワンセグへの期待が高まっているのだ。

 とはいえ、現在のエリア限定ワンセグは、今すぐに「新たなメディア」として台頭できるレベルにはない。ワンセグ対応の携帯電話を使うため、受信端末の普及数そのものは十分だが、エリア限定ワンセグを視聴するためのチャンネル設定が難しく、使い勝手の点で課題を多く抱えているからだ。実際に新たなメディアとして定着するには、ユーザビリティーの改善や視聴への誘導をどのように行うかなど、クリアすべき点は多々あるのが実情だ。新たなサービスや広告メディアとして“成長するのではないか”と目ざとい業界関係者が注目しているが、それにはキャリアやメーカーが中心になり、エリア限定ワンセグが使いやすい端末とサービス環境を作る必要があるだろう。

こちらも8月に行われた大阪のイベントの様子。エリア限定ワンセグの視聴は、専用の周波数に設定しなければならない。ドコモの携帯電話では、おサイフケータイの三者間通信機能と、Webブラウザのワンセグ周波数設定機能を併用して、専用リーダー/ライターにかざすとエリア限定ワンセグを見られる仕組みを導入していた
会場内では、男性スタッフが「エリア限定ワンセグのチャンネル設定用リーダーライター」を持って巡回。肩から提げたバッグにおサイフケータイをかざしてもらうことで、来場者の携帯電話でエリア限定ワンセグのチャンネル設定をしていた

 “エリア限定ワンセグ”が業界のバズワードで終わるか、それとも新しいメディアとして定着するか。今後1〜2年が試金石となりそうだ。

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