松田雅央(まつだまさひろ):ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及びヨーロッパの環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ(http://www.umwelt.jp/)」
年明け早々ドイツはこの冬一番の寒波に見舞われ、普段は暖かいここカールスルーエ市もすっぽりと雪に覆われている。筆者の自宅兼事務所は灯油より割高なガスのセントラルヒーティングを使っているため、もうすぐエネルギー水道公社から届く今年の暖房料金通知が気がかりでしょうがない。
さて、ドイツにおける環境分野の最重要テーマは今年も大気保護とエネルギー、そしてCO2の排出削減となりそうだ。環境省の発表する資料の比重は一貫してこの分野が高く、例えば環境省の広報誌『ウムヴェルト(UMWELT=環境)』の最新号でも100ページのうち40ページを割いている。中でも特に目を引くのが「2030年までに総電力に占める再生可能エネルギー※電力の割合を50%に」という環境省の目標である。
気候保護とエネルギー、CO2排出削減を考える際、最も重要なキーワードとなるのが『再生可能エネルギー法(EEG:Erneuerbare Energie Gesetz)』である。2000年に制定され2004年に改定されたこのEEGは、電力買い取り価格を長期間保証する固定価格買い取り制(フィードインタリフ制)によってその普及促進を目指している。
2004年当時の目標は「2010年までに国内総電力に占める再生可能エネルギー電力の割合を12.5%に高める」だったが、うれしい誤算で早くも2007年に14%を達成してしまった。当時の長期目標は「2050年までに50%」であったが、これも最新の研究調査『再生可能エネルギーの見通し2008』※によれば達成時期がずいぶん早まり、おそらく2030年には実現できそうだ。
この研究調査にはCO2の削減見込みも記されている。
再生可能エネルギー開発(電力と熱源)と省エネにより、2020年まで毎年2億6000万〜2億9500万トンのCO2削減が見込まれ、そのおよそ40%が再生可能エネルギーの効果となる。
分野・対策 | 2020年までのCO2排出削減量 |
---|---|
1.再生可能エネルギー電力の新規開発 | 7000万〜8000万トン/年 |
2.暖房の効率化 | 7000万〜8000万トン/年 |
3.コジェネレーションの利用拡大 | 6000万トン/年 |
4.再生可能エネルギーの熱利用 | 2000万〜2500万トン/年 |
5.交通機関の効率化 | 2000万〜2500万トン/年 |
6.交通分野の再生可能エネルギー利用(バイオ燃料と電気自動車) | 2000〜2500万トン/年 |
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