R30野菜ジュース、カゴメ「やさいしぼり」の特徴は?(1/2 ページ)

» 2009年03月10日 07時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
カゴメの「やさいしぼり」

 「野菜本来のおいしさを追求し、“野菜だけ”の甘みにたどり着きました」――。こう胸を張るのはカゴメ総合研究所の鍵谷和生氏。

 カゴメは3月10日に、30歳以上のビジネスパーソンをターゲットにした野菜ジュース「やさいしぼり」を発売する。野菜ジュースに野菜本来のおいしさを求める人を満足させるため、地中海性気候で栽培されたトマト、にんじん、赤パプリカなどを厳選。さらに蒸気と野菜ジュースを直接接触させ、瞬間的に加熱殺菌するスチームスイートという製法(従来は蒸気とジュースを金属板を介して、間接的に加熱殺菌するので加熱時間が長かった)によって「ジュース本来のおいしさを損なわないことに成功した」(同)という。

 やさいしぼりシリーズは3タイプ(各200ミリリットルの紙パック)を用意。「黄金比ブレンド」は世界中から厳選された原料をバランスよく配合したほか、「にんじんスイーツ」は甘みを蓄えたカリフォルニア産のにんじんを使用、「完熟パプリカ」は苦味が強い中綿や種を取り除いたチリ産のパプリカを使用しているのが、それぞれの特徴となっている。参考小売価格はいずれも114円。販売目標は45億円(2009年3月から2010年2月)を掲げている。

苦戦が予想される野菜飲料市場

カゴメ「やさいしぼり」の発売記念イベント。場所は東京ミッドタウン

 これまでカゴメはどういった野菜飲料を販売してきたのだろうか? まず1933年に発売された「カゴメトマトジュース」は、誰もが認めるロングセラー商品だ。そして1973年に野菜ジュースの販売を開始し、1993年に発売した「キャロット100シリーズ」がヒット。その後、1995年に販売した「野菜生活100シリーズ」はニンジンにリンゴなどを加えることで、野菜本来のニオイを軽減させた。その結果、野菜飲料が苦手な消費者にも受け入れられ、野菜飲料市場を拡大。2006年には野菜生活100シリーズの「紫の野菜」、2007年には「黄の野菜」などを相次いで投入した。

 このほか2004年に販売した「野菜一日これ一本」は、当時の健康ブームを追い風に「20代〜40代のビジネスパーソンに支持された」(広報部)という。カゴメは1990年代の中頃から、野菜飲料の販売実績を右肩上がりで伸ばし続け、その中心的な役割を果たしてきたのが「野菜果実ミックス」タイプの商品だ。一方で「野菜100%ジュース」の販売数も伸ばしているものの、同社の出荷実績(2007年)を見ると、5分の1ほどに留まっている。

 また成長を続けてきた野菜飲料だが、富士経済では「値上げによる影響やブームの反動、消費者による中国産野菜の敬遠などによって減少し、市場は縮小に転じると見込まれる」と分析している。

野菜生活100シリーズ
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