「著作権者を尊重するNO.1映像配信プラットフォームを目指す」――Yahoo!動画+GyaOの行方は(2/3 ページ)

» 2009年04月08日 02時30分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

話が具体化したのは2008年10月

 質疑応答では提携の経緯や、動画配信サービス事業を黒字化させる方策などについての質問が投げかけられた。

USENの宇野社長

――共同でGyaO株式会社を運営するに至った経緯を詳しく教えてください。

宇野 ヤフーさんとは以前から、グルメGyaOの部分でYahoo!グルメさんと提携させていただいています。また、「Video Complex」という有料サービスもご一緒させていただいています(参照リンク)。そういう縁の中、井上社長の方から「ユーザーさんや広告主が使いやすいような規格統一みたいなものを検討してもいいのではないか」というお話が以前にありました。

 その(話があった)後、我々としても「動画配信サービスをより強化していくためには、自分たち単独でやるよりも、強力なパートナーシップを得た方がいいのではないか」と考えて、私どもからヤフーさんにご相談して、今回に至りました。

――今回の提携が具体的な話になったのはいつごろですか?

井上 僕はあまり記憶がありませんが、「2008年10月ころにUSENさんの方から最初にお声がけをいただいた」そうです。

――USENさん単独ではなく、ヤフーさんと組むに至った理由を教えてください。

宇野 先ほど井上社長からもあった通り、私どもも「このビジネスを独占したい」という発想ではなく、「いろんなコンテンツホルダーの方々がビジネスチャンスを生んでいけるような場作りができればいい」というのが元々の思想でした。そういう意味では、「両社が一体となって、より大きな場にした方が、いろんな方々に与えられるものが増えるのではないか」という判断です。

 これ(無料の動画配信サービス)は広告モデルです。ヤフーさんは(広告モデルで)きちんと収益化していく構造においても、私どもがやっていくより、よほど見識なり、いろんなものをお持ちになっていると思います。「それ以外の部分でも、私どもの持ち得ないさまざまなものが非常に大きくあるのではないか」と(思い)、「こういうこと(ヤフーと組むこと)がサービスにとって一番いいのではないか」という判断に至りました。

GyaOというブランドは大事にしたい

――統合後にどちらのサービスがブランドとして残ることになりますか?

井上 ブランドについては、正式にはまだどうこうするとは決めていないと思います。僕の個人的な意見としては、「GyaOというブランドは非常に多くの利用者に支持されているブランドですので、大事にしたらいいのではないか」と思っています。しかし、基本的には「新会社の経営陣たちが、一番いいと思われるものを選択していくのだろう」と思います。

――「GyaO」という名前はUSENにとっては、単に動画配信サービスという意味だけではないと思います。ほかのサービスでGyaOのブランドが付いているサービスを今後どう展開されるか教えてください。

宇野 新会社が選ぶもの(動画配信サービスの名称)では、(GyaOという名前を)尊重していただけると思っています。しかし、それ(GyaOが新しい動画配信サービスの名称になるか)に関わらず当社では、「GyaOブランド、GyaOサービスというのは継続して、さまざまな形で届けていきたい」と思っています。

――膨大な動画コンテンツを抱えるプラットフォームを両社が持たれていますが、今後それは並存されるのか、それとも統合されるのか教えてください。

井上 サーバー類については、2つ持っているのはムダだと思っています。基本的には両方の良いところを取りながら、1つのプラットフォームにまとめてコストを半減させることを目指します。

 この辺は(変化の激しい)ITの世界の話なので、若干長い目で見ていただくと、今のプラットフォームは(いずれ)両方とも使わなくなって、新しく作ったものだけが残っていくことになるとは思います。ただ、当面は2つのシステムの並存というところから始めて、なるべく早く1つにまとめてコストを下げて、将来的にはさらに新しいプラットフォームの開発を行うことになると思います。

――GyaOのWebサイトとYahoo!動画のWebサイトは統一されることになりますか?

井上 当面は今のまま2つ見えているということになると思います。おそらく目先1年くらいで、次期バージョンのYahoo!動画と、次期バージョンのGyaOのサービスが非常に似通ったものになるか、まったく同じものになるかという形で発展的な統合を遂げていくことになるのではないでしょうか。

 開発の計画時期と実際に出来る時期は大体ずれるので、時期についてはあまり言わないようにしています。しかし、「今のサービスのままで、進化しないまま放っておく」ことはしたくないと思っているので、Yahoo!動画の利用者にとっても、GyaOの利用者の方にとっても、違和感なく、より便利で使いやすいサービスがなるべく早く作られればと期待しています。

Yahoo!動画(左)、GyaO(右)

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