値引きとポイント還元、どっちが得?

» 2009年04月20日 07時00分 公開
[金児昭,ソフトバンククリエイティブ]

問題

 デパートや家電量販店などで、よくポイント還元や優待の値引きを行っています。同じ率であれば、消費者にとっては、どっちが得になるのでしょうか?

(1)値引きのほうが得である

(2)ポイント還元のほうが得である

(3)どちらも同じく得である

(4)どちらも損である

答え

 率が同じであれば、お得率も同じような気もしますが、実際に支払う額は、値引きのほうがつねに先に安くなります。例えば、優待10%として、100円の買い物をしたとき、割引なら支払額は90円ですが、ポイント還元なら100円支払います。次に10円の買い物をしたとき、値引きなら支払いは9円、ポイント還元は10円分をポイントで支払って、還元ポイント1円がつきます。ここまでの支払い合計額は、値引き99円、ポイント還元100円です。つまり、値引きのほうが支払額はつねに先に安くなります。よって支払額で考えると(1)が正解です。

解説:お店の立場で考えると……

 お店の立場で考えると、ポイント還元のほうが値引きよりも売上が落ちません。値引きとは「単価」を下げることです。値引きの場合は、同じだけ売っていたのでは、売上は確実に減ります。ポイントは、「おまけ」に似ています。次に買うとき利用できる金券をおまけしているのと同じです。しかも、このおまけは、使わなかったらなかったのと同じです。使われない限り売上は減りません。

 さらに、ポイントを使うには来店して次の買い物をしなければなりませんから、リピート率にも寄与します。ポイントカードやポイント制が大はやりなのは、リピート率の上昇と、顧客囲い込みの効果を期待してのことです。

 このようにお店の立場からすると、値引きよりもポイント還元のほうがリスクが少なくメリットが多いので、取り入れやすいのです。なお、会計上はポイントは値引きと同じです。上場企業の場合は、ポイント引当金を計上することになっています。

著者プロフィール:金児昭(かねこ・あきら)

 1936年、東京都生まれ。東京大学農学部農業経済学科卒業後、1961年、信越化学工業に入社。38年間、経理・財務の実務一筋。1992〜1999年、常務取締役(経理・財務、法務、資材担当)。現在、経済・金融・経営評論家。信越化学工業顧問。日本CFO(最高経理・財務責任者)協会最高顧問。30代で会計士試験に3度失敗。落ちっぱなしの公認会計士委員。

 主な著書に『これでわかった!バランス・シート』『「経理・財務」これでわかった!』(以上、PHP研究所)、『お父さんの社交ダンス』(モダン出版)、『私がほしかったダンス用語集』(中経出版)など多数。本書は106冊目。


本連載は『会計力1分間トレーニング――身近なギモンから経営分析まで』でまとめ読みできます!

本書は、ビジネスで必須の「会計力」を鍛えるトレーニング・ブックです。1問1分で解ける問題を60問集めてあるので、通勤時間や待ち時間など、「スキマ時間」を活用して会計力を鍛えることができます。

 →『会計力1分間トレーニング――身近なギモンから経営分析まで』(ソフトバンククリエイティブ刊)購入はこちらから(Amazon)


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.