世界的な景気回復期待と金融不安、信用収縮懸念が薄れたことから大幅高、年初来高値更新清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年05月07日 16時44分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株高、というよりは世界的な景気底入れ期待や信用収縮懸念、金融不安が薄れたことから大幅高となりました。目先的な戻りの目処とされた9300円水準=1月高値水準まで戻ったことで、目先的な達成感も出ているようですが、底入れ感はますます強まり、底堅さを確認しては戻りを試す動きが続くかもしれません。日米のイベントや経済指標、決算発表などに振らされることはまだあるのでしょうが、楽観的な見方も徐々に増えているのではないかと思います。

 昨日の新聞に減配企業が増えているよ言うニュースがありました。一方で同じ紙面に米ジョンソンアンドジョンソンの「我が信条」を貫いたことで76期連続増益、46期連続配当と言う記事も出ていました。株主のため、ということで配当を増やすことが流行りのようになっていたことを考えると大いに考えさせられる記事ではなかったかと思います。

 また、その新聞記事の中で、「配当が減ると可処分所得が減り、個人消費に影響がある」と書かれていましたが、圧倒的に株式を保有、また、配当をあてにしている消費者が少ないなかでその理屈はおかしいと思います。実際に配当が増えたところで個人消費が増えたということもなかったわけで(2〜3年前には、個人的には大いに期待していたのですが)、配当が減るから個人消費が得るということはないと思います。

 逆に、この世界的な不況をきっかけにこれまでの投資ファンドなどに煽られた「株主のため」に利益を上げようとしていた企業が、ジョンソンアンドジョンソン型の「第一に顧客に、次に社員に、その次に社員に、そして最後に株主に責任を持つ」企業に変わることが出来れば、次の景気回復期には業績もしっかりと伸び、そしてまた不況が来ても今度はしっかりと底堅い業績を続けることが出来るようになる、つまり、長期的な視野にたった投資に適した企業になるのではないかと思います。そして我々もそうした企業を見出して、じっくりと投資の醍醐味を味わいたいものです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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