著者プロフィール:笠井清志
船井総合研究所シニアコンサルタント。複数企業でキャリアを磨き、船井総合研究所の経営コンサルタントとして従事する。コンビニ本部等の多店舗展開チェーン企業へのコンサルティングを中心に活動。クライアント先である「NEWDAYS」の平均日販を日本一に押し上げたことが話題になる。月刊コンビニ(商業界)で連載を持つほか、著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。
皆さんは普段何気なくコンビニに寄り、昼ご飯を買ったり、夜ご飯を買ったりしている動きが「実はコンビニ側(店舗経営側)から誘導されている」と知っていましたか?
突然、このような事を聞かされると、不愉快な思いをされるかもしれません。「催眠術か?」「洗脳か?」と不安にさせてしまったかもしれません。現在日本に存在しているコンビニは「行動心理学」を徹底的に応用したお店なのです。
「人はお店に入ってからどのような動きをするのか?」「どのような基準で商品を選ぶのか?」「どうすれば商品を買いたくなるのだろうか?」など、コンビニ側は「どのように準備をすればお客さまは商品を購入するのか?」ということを考え、具体的に展開しているのです。
コンビニは日本一、坪当たりの生産性が高いお店です。要は、狭い店舗面積を最大限有効活用しているから実現しているのです。事例はちょっと違いますが、ドン・キホーテも同じような考え方です。ドン・キホーテは「商品をドンドン積み上げられれば狭い店内を有効活用できる」と考えて、売り場を作っています。
コンビニはちょっと違います。「どうすれば、お客さんが買いたくなるのか?」を考えて店作りをしています。大きな事象を2点お伝えしましょう。
店内に入ると最初に見える売場を「エンド」と呼びます。お客さまが最初に見る売り場です。エンドゴンドラ(入り口の陳列棚)は「情報の発信」という役割があります。今、店が売りたいと思っている商品、キャンペーン、伝えたいメッセージを商品の陳列展開を通じて情報発信しています。例えば、その週に発売された新規商品を陳列していたり、現在実施しているキャンペーンの説明などが行われています。
「人間はお店に入ってから4メートル歩かないと消費行動に移れない」と言われています。店に入ってからしばらくの間は、消費行動に関する情報収集を行っているのです。「このお店で何を買おうか?」「今、お店は何を売ろうとしているのか?」という情報収集です。情報収集を行っている間は消費行動は起こりません。ただ、この間にお客さまに向けて効果的な情報発信ができると、お客さまの消費欲求は高まるのです。
コンビニでは、エンドに情報発信の仕掛けをしておき、お客さまの潜在意識に「これが、今日のおすすめですよー」と、情報を植え付けているのです。そうすると、お客さまは店内を歩きながら、「今日は何を買おうかな」と何気なく商品を見ている時に、エンドゴンドラで確認した情報が頭に浮かんできます。「あっ! そういえば、コレが新商品だったな」と情報の再確認ができ、購入意欲が沸くのです。
エンドゴンドラで陳列している商品自体はほとんど売れません。しかし、このゴンドラで効果的な商品情報の発信ができると、お客さまに「この店はいつも新しい商品がある。何か面白いことやってんじゃないか?」という心理的な効果を与えることができるのです。
エンドゴンドラと同じようにコンビニに入り最初に目が行く場所に「雑誌売り場」があります。よく立ち読みをしている場所ですね。雑誌売り場がガラス窓側にある効果は、
の2点にあります。
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