なぜサクマの「いちごみるく」は、愛されているのか?(2/2 ページ)

» 2009年06月03日 07時00分 公開
[笠井清志,INSIGHT NOW!]
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利用者層を拡大させ、さらに成長

 元々、街のお菓子屋で「いちごみるく」を売り始め、お菓子屋の衰退とともにスーパーやGMSにチャネルを変化させていった。このチャネルの変化にともなって、購買層は子どもから子どもと一緒にいる主婦層まで広がることになった。

 こうして、順調にチャネルが広がっていったかのように見えたサクマ製菓であったが、ある問題にぶつかることになる。その問題とは、元々「いちごみるく」を購買していた子ども層が成長したことによる“いちごみるく離れ”であった。

 サクマ製菓は、この“いちごみるく離れ”を防ぐために、子どもの成長に合わせたチャネルを展開していくことにした。

 1990年代においては、若者が買いに集まる総合雑貨店に商品を展開し、また、彼らが頻繁に利用するコンビニ、売店、アミューズメント施設などにも展開していった。さらに、主婦層に対しても「あの懐かしのお菓子」というコンセプトで告知していくことで、スーパーなどの量販向けの展開を強化していった。

 こうして、当時の子どもだった世代の成長にあわせたチャネル展開ができたことで、購入層の拡大に成功した。また主婦層を通して、親から子への認知の拡大を果たしていった。このような努力が巧を奏し、全世代に「いちごみるく」ブランドが浸透していった。

不動のポジショニング

 同じフレーバーがさまざまなチャネルにおいて散見される中、なぜ「サクマのいちごみるく」は選択されるのだろうか? それは、アメのコンセプトに起因すると考えられる。従来のアメは、さまざまなフレーバーで消費者に飴を提供していたが、サクマ製菓のアメは「カリッ、コリッ」「噛む飴」といういわば食感という切り口で、消費者に新しいアメを提案したのだ。

 斬新なコンセプトとパッケージで、従来にないインパクトを打ち出し、イメージを定着させた。ブランドイメージが定着したことで、他の人気商品同様に先行者メリットを最大限享受できたのである。

 今後の展開について、担当者は次のように考えている。

 「新商品を次々と投入し、小売棚の確保・拡大していくためには、いちごみるくのシリーズが展開できるようなブランドの確立が必要不可欠」

 子どもから大人まで楽しめるアメ「いちごみるく」。担当者は新たな試みとして、さらなる販売領域の拡大を目指し、その一環として「いちごみるく」のグッズ化を実現させた。次はどのような商品で、我々消費者を楽しませてくれるのだろうか。(笠井清志)

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