環境映画『HOME 空から見た地球』にこめた思いとは?――ベルトラン氏、リュック・ベッソン氏、ピノー氏に聞く(1/2 ページ)

» 2009年06月07日 15時01分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 “世界環境デー”の6月5日、世界中に環境問題を訴えることを目的としたドキュメンタリー映画『HOME 空から見た地球』が世界88カ国で一斉に公開された。『HOME 空から見た地球』は写真家のヤン・アルテュス=ベルトラン氏の初監督作品で、『グラン・ブルー』『ニキータ』『レオン』などで知られるリュック・ベッソン氏がプロデューサーを務める。公式スポンサーには仏流通大手PPRグループが名を連ねている。

 『HOME 空から見た地球』の撮影は、日本を含む世界54カ国120カ所で18カ月のべ217日間にわたり、すべて空中からのハイビジョン撮影で行われた。映画の利益はベルトラン監督が設立した環境問題を支援するNGO「グッドプラネット」にすべて寄付する。

 映画公開直後、監督のヤン・アルテュス=ベルトラン氏、プロデューサーのリュック・ベッソン氏、PPRグループ会長兼CEOのフランソワ=アンリ・ピノー氏にインタビューを行った。

 →『HOME 空から見た地球』はYouTubeに公開されており、無料で視聴できる

HOME(Trailer)

環境意識の原点はギニアで生まれた

左からリュック・ベッソン氏、フランソワ=アンリ・ピノー氏、ヤン・アルテュス=ベルトラン氏。インタビューはCISCOの遠隔会議システムを使用して行った

――このプロジェクトはどのように立ち上がったのですか?

リュック・ベッソン(以下、ベッソン) ベルトランが40年近くエコロジー関係の仕事をしており、映画を作ることで、(環境保護の)メッセージをできるだけ多くの人に伝えたいと思ったことが始まりです。

 まずベルトランが私のところにやってきて、「助けてくれないか」と聞いてきました。そして私は、(制作資金を得るため)ピノーさんに「助けてくれないか」と言ったのです。1人はクリエイター、1人はプロデューサー、そして1人はビジネスの人であり、あらゆるところからこのメッセージを発信するべきだと考えたのです。

――ベルトランさんはなぜエコロジーに興味をもたれていたのでしょうか?

ヤン・アルテュス=ベルトラン(以下、ベルトラン) 理由を詳細に話そうとすると長くなってしまうのですが、30歳のころにギニアでライオンの研究をしていた時に、「私自身も自然の1人である」と気付いたことが原点にあります。今、科学者の話を聞いていると、エコロジストにならざるを得ないですよね。

――なぜ今回のプロジェクトをベッソンさんに持ち込んだのですか?

ベルトラン ベッソンはフランスの大物プロデューサーです。映画を世界中でPRするためにはプロフェッショナルが必要です。映画を作ったことがない人のためにお金を調達するのは大変なことで、リスクを背負わなければならないのですが、彼を信頼してお願いしました。いまや大勢の観衆の興味を引くことができたので、彼はこの仕事に的確な人材だったと思います。

――ピノーさんが公式スポンサーを引き受けられたのはなぜですか?

フランソワ=アンリ・ピノー(以下、ピノー) PPRグループでは2000年から組織を再編して専門のCSRの組織を作り、二酸化炭素の排出量を減らしたり、まったく新しいやり方で新商品を開発したりしていました。

 2007年6月にベルトランさんとベッソンさんが私のところにやってきて、「映画の資金の一部を調達してくれないか」と提案したのです。それは我々が世界的にやろうとしていることと一致していたので、映画の資金を出すことにしたのです。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.