過熱感が強く利益確定売りが出やすいところに円高を嫌気した売りが加わり軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年06月09日 15時41分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 目先的な過熱感もあり軟調な始まりとなりました。後場に入ると昼の間に円高が進んだこともあり、一段安、一時大幅安となりました。経済指標の発表やSQ(特別清算指数)算出を控えて積極的に持高を増やすという雰囲気でもなく、目先筋の手仕舞い売りに押されて下げ幅を広げたものとも思います。過熱感が強いということで、逆に言えば買い方の回転は効いており、利益確定売りもかさんだようです。

 本日の後場の下落を「アジア市場が軟調だから」などと相変わらず妙なコメントも見られましたが、単に円高を嫌気する動きと上値の重さを嫌気した利益確定売りや見切り売りがかさんだものと思います。考えてみれば、アジア市場、しかもアジア市場の株価指数の動きを見ながら、日本で株を売るか買うかなど決定することは少ないのではないかと思います。

 「米国株が安い」と言うケースでは米国での景気や業績の悪化などがあり、そしてその米国の経済情勢が日本の企業の動向に響く、と言うことで売られるのは分かるのですが、「アジア市場が安い」のは米国市場や日本市場が軟調となるケースが多いからではないかと思います。確かに、欧米の資金が日本を含めた「アジア市場」から引き上げられるときなどは日本もアジア市場も売られるのでしょうが、それも「アジア市場が売られた」から日本株が売られるわけではないのです。

 このように株式市場では因果関係がほとんどないものもまことしやかに騒がれたりもするので、注意が必要です。アナリストの投資判断や目標株価、そして朝方伝えられる「外国人売買動向」などもどこまで市場に影響があるのかわからず、逆にほとんど影響はないのでしょうが、気にしてしまい、気にする人達が増えると影響を持つようになるということなのでしょう。「アジア市場が云々」ということも、それを見て動く人が多くなれば影響は大きくなるのでしょうが、あくまでも「方便」に過ぎないと思っておいた方がいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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