自転車はブルースだ、と忌野清志郎は言った郷好文の"うふふ"マーケティング(2/3 ページ)

» 2009年06月11日 07時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

自転車こぎをめぐる4類型

 1970年頃、日本マクドナルド創業者の故藤田田氏は、銀座中央通りを歩く人波を望遠鏡で観察していたところ、歩くスピードが早まっているのに気付いた。そして「早食いが流行する」と感じた藤田氏は、ハンバーガーチェーンを展開していったのだ。

 まず前述の「ムラのある自転車こぎ」タイプ。立ってはこぎ立ってはこぎ、でもあんまり前に進まない。頑張っても結果が伴わないから止めてしまう。ハウツーものを読みあさり、テレビを聞きかじり、スキルアップやダイエットをやるけれどどれも貫徹できない。そうやって年をとっていくのかもしれない。ペダルにも生きざまにもいまひとつ体重が乗らないタイプ。それでも立ちこぎするケナゲな彼らを“タチコギィ”と命名したい。

 2つ目は、ロードバイクやクロスバイクにまたがり、時速30キロでスイスイと車道を駆け抜ける“車道のかもめ”たちである。昨今の自転車ブームをけん引し、メッセンジャーもどきな彼らは、ヘッドギア、グローブにパンツまでキメて、青信号の先端を切ることに生きがいを感じる。ファッションも仕事も自由闊達、自信にあふれて先頭を行くが、時に車道でクルマと接触し、激しく転倒して一命を落とすリスクと隣り合わせ。自由の代償というべきだろうか。

タチコギのかもめもいる

 車道にかもめがいれば、歩道では“王様”が走る。歩道を走りながら、「そこのけ!」とチリンチリンとベルを鳴らしまくって走るタイプ。その姿はまさに“歩道の王様”だ。ベルも鳴らさずにスッと歩行者を抜き去る人も増えた。王様の自転車には、バックミラーや傘入れなど安全&便利武装が多いのも特徴。一方、整備不良でキイコキイコうるさいのも王様ゆえだろうか。サビ落としぐらいスプレーしてください。余談だが、歩いていて避けない歩行者が増えたことと王様の自転車の横行、どこか関係がありそうだ。

 謎なのがサドルを目一杯下げて、まるで三輪車をこぐようにゆっくりゆっくり走るニイチャン・ネエチャンの自転車乗り。なんであんな低くするんですか? 歩くのと変わらないスピードで走るのは、チャリさえもだるいからですか? 彼ら10代から20代の“ローライダー”たちは、自転車=スピードという合理性を裏切る。きっとセグウェイに乗っても彼らはしゃがむのだろう。あと、チャリで携帯メールを打つテクはすごいけど、道交法違反ですからね。

もっと低めのヤツもいますよね

 この4類型をポジショニングしたのが“自転車ブルース・マトリックス”。ヨコ軸はスピードが早いか遅いか、タテ軸はリズムが一定かランダムか。ムラ走行のタチコギィは左下、スピードが速いが信号でちゃんと止まるかもめは右下、危険いっぱいの歩道の王様は右上、人畜無害だが日本の将来は大丈夫か? と思わせるローライダーは左上だ。

自転車ブルース・マトリックス

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