“カネを返せ!”というのは誰か? 窮地に追い込まれる消費者金融シリーズ・“新借金地獄”の時代(1/3 ページ)

» 2009年07月01日 07時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 今、消費者金融業界が“窮地”に追い込まれていることをご存じだろうか? 「シリーズ・“新借金地獄”の時代」の1回目で、消費者金融業界は改正貸金業法の影響を受け、瀕死の状態であることを紹介した。シリーズの2回目で取り上げるのは、収束する気配すらない「過払い金返還請求」の問題だ。

7年以上取引があれば過払い金が発生

 そもそも消費者金融を利用したことがない人にとって、過払い金請求に馴染みがない人も多いだろう。過払い金とは、利用者が消費者金融に“返し過ぎた”お金のこと。なぜ返し過ぎた状態になるかというと、消費者金融が定める利率と利息制限法の利率に開きがあるからだ。多くの消費者金融は出資法の上限利率である29.2%に近い金利で、貸付を行ってきた。しかし利息制限法では10万円未満の貸し出しであれば年20%、10万円以上100万円未満で年18%、100万円以上で年15%と、それぞれ上限金利が定めている。

 いわゆる「グレーゾーン金利」(2つの異なる法律が定めていた金利)と呼ばれていたが、2006年1月の最高裁の判決で、業者と利用者の“立場”が逆転した。これまで利用者が利息制限法の上限金利を超える金利で支払った分について、消費者金融は返還しなければならなくなった。この結果、出資法すれすれの利率で貸付を行っていた業者は、それより低い利率である利息制限法で計算し、過払い金が発生していれば返還しなければならないのだ。

 過払い金が発生するかどうかはケースバイケースだが、一般的には7年以上取引があれば過払い金が発生している可能性が高い。

 実はこの過払い金の返還額をめぐって、各社は見方が分かれていた(関連記事)。大手消費者金融4社の2006年9月期決算は、過払い金の影響で大幅な赤字に転落した。しかし翌年、引当金が大幅に減少したため、2007年9月期は黒字に転換した。

大手消費者金融4社の利息返還損失引当金

 2007年9月期決算の記者会見の席上、プロミスの神内博喜社長は「過払い金の返還は計画通り推移しており、来年度以降は減少するだろう」と、楽観的な見方を示した。その一方、アコムの木下盛好社長は「この水準(高止まり)が来年度も続く可能性がある」と意見が分かれていた。結果論でいうと、アコムの木下社長の予測が的中した格好だ。

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