節目を抜けて買戻しを急ぐ動きも見られたが、上値は限定的清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年07月27日 16時05分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 週末の米国市場は底堅いながらも上値の重い展開となったのですが、日本市場は週明けから大幅高となりました。節目と見られる10000円水準を抜けて始まった後も10000円を割り込まず、底堅さが確認されると買戻しを急ぐ動きなどから大幅高となりました。先物に買戻しを急ぐ動きがあり、指数を押し上げたものと思います。6月12日の年初来高値を更新する場面もあったのですが、今一つテーマ性もなく盛り上がりに欠けるなかでの大幅高でした。

 決算動向や景気動向に振らされながらも結局は目先の需給に振り回されているようです。為替にも動きがないなかで先物主導で大きく上昇する場面が多く、所謂「中身が伴わない」感じです。業績面の裏づけ云々、ということでもなく物色対象が定まらないことで盛り上がりに欠ける展開となっているのでしょう。日立(6501)に子会社再編の話が出ても、特に日立の「スマートグリッド」などインフラ整備に関連する事業の伸びに期待する動きとなっているわけでもなく、とりあえず「TOB(株式公開買い付け)」と言う言葉に反応しただけなので、物色対象の広がりに結びつかないのでしょう。

 本来であれば、「スマートグリッド」や「クラウドコンピューティング」や、月刊誌などでは特集も組まれている、「農業関連」など掘り下げて材料となりそうなものも多いのですが、今一つ「乗りが悪い」というか材料視されない、というか長続きしない感じです。「原油価格の上昇」なども本来であれば大きな流れが戻っている証拠かもしれず。日立の再編でも「スマートグリッド」が業績に寄与すると見ていることで経営資源を集中する目的で再編をしているのかもしれません。

 太陽電池関連や燃料電池などでも大きな材料として何かにつけ取り上げられてもおかしくはないような材料ではないでしょうか。業績や業態が様変わりしてしまうような新技術やテーマはいろいろと散見されるのですから、一つの流れとしてこうしたいろいろな新技術に改めて注目しても良いのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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