早稲田大学商学部卒業、旅行会社の営業(添乗員兼)に始まり、リサーチ会社、シンクタンク、広告会社、ネットベンチャー、システム開発会社などを経験。2001年、(有)シャープマインド設立。現在、「マインドリーディング」というコンセプトの元、マーケティングと心理学の融合に取り組んでいる。また、熊本大学大学院(修士課程)にて、「インストラクショナルデザイン」を研究中。
新型インフルエンザで大騒ぎした今年の冬。現在はいったん収まってますが、秋以降、再び感染が広がる可能性があるため、予断を許しません。
さて、家庭でできる、インフルエンザ感染予防策のひとつが「正しい手洗いの励行」ですね。おかげで石鹸やハンドソープなどの売り上げが伸びたようですが、ハンドソープのNo.1ブランドは何だかご存知ですか。
それは、ライオンの「キレイキレイ」です。
キレイキレイは1997年に登場。わずか3年後の2000年にトップシェア(金額ベースでの市場シェアは、現在40%超)を獲得し、以降も王座を堅持しています。売上高は、2007年に100億円を突破しています(ライオンのアニュアルレポート2007、2008より)。
キレイキレイが登場するまでのハンドソープといえば、「薬用石けんミューズ」の独壇場でした。ところが、キレイキレイがわずか数年で、ハンドソープのトップシェアを奪い、その地位を磐石なものにした背景には「絶妙なネーミング」「物語(ストーリー)性」の2点があると言えそうです。
「キレイキレイ」というネーミングは、帰宅後、お母さんが小さい子どもに、「おてて、キレイキレイにしましょ!」と話しかけるところから取ったもの。
ハンドソープのメインターゲットが、小さい子どもを持つ主婦層であることを考えると、実に分かりやすく、かつ親しみやすさを感じさせるネーミングでした。何しろ、しょっちゅう「キレイキレイ」と自分で口にしている言葉ですからね。
同製品は発売当初から、イラストレーター上田三根子氏が描く「キレイキレイファミリー」、すなわち「キレイママ」「よしおくん」「よしこちゃん」の3人のキャラクターを軸とした、パッケージデザインやコミュニケーション施策が展開され、独自の世界観を生み出していました。
また、子どもたちが自主的に手を洗ってくれるように、「キレイキレイの絵本」「キレイキレイ手洗いの歌」などの啓蒙的なコンテンツを作成。購入者である母親の好意や購入意欲を高めることに成功したんですね。
『日経デザイン』2009年7月号によると、パッケージデザインには細かい工夫が凝らされているそうです。同製品のハンドソープには、液状タイプと泡タイプとの2種類があります。
汚れ落ちの強い液状タイプは、外遊びの手洗いに向いているため、ボトルに描かれたよしおくんは野球のユニフォームを着ています。一方、軽い汚れに向く泡タイプでは、よしおくんはスリッパを履いており、室内にいることを示しています。
また妹のよしこちゃんには、ぬいぐるみを持たせていますが、これは、ぬいぐるみで遊んだ後も、手洗いが必要なことをさりげなく伝えているのだそうです。
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