米国株は引き続き堅調ですがTOPIXが13連騰となるなど指数は過熱感もあって上値の重い軟調な展開から大幅下落となりました。為替も円高傾向にあることから、業績回復期待から買われていたハイテク銘柄や自動車株、機械株なども利益確定売りに押されて軟調なものが多く、業績改善を示す決算を発表したものも材料出尽くしとなって軟調となりました。最後は持高調整の売りがかさみましたが、下値を売り叩く動きは少なく、出遅れ感が強いディフェンシブ銘柄に買いが入り指数を下支えする動きもあったものと思います。
「まだはもうなりもうはまだなり」とはよく言ったもので、長年相場に携わっていますが、本当に「まだまだいける」と思うと天井になり、「もうだめだろう」と思っていると「まだまだいける」ということが多いような機がします。考えてみればこうしたことは当たり前といえば当たり前のことであり、誰もが「まだ行ける」と思って買いついたあとは「もう誰も買う人がいない」ということになってしまうのです。
実際に相場の中にいるとバブルの中にいるとバブルに気が付かないのと同様に「もう駄目」なところにも関わらず「まだ行ける」と勘違いしてしまうことが多いのではないかと思います。今回の決算動向を見ても「まだまだ業績は回復しないだろう」と思われたものがしっかりと回復したりしています。相場もまだまだ駄目だと思っているうちにこの水準まで戻ったと言う感じを持っている人もいるのではないかと思います。
結局は「まだ」も「もう」も目先の聞き心地の良い言葉ばかりを聴いたり、皆と同じ方向を見ていれば安心するというような投資の仕方では見つけることは出来ず、しっかりと大きな流れの変化、潮目の変化を見極める力をつければ「もう」も「まだ」もしっかりと見分けることが出来るのではないかと思います。同時に「もう」と思って仕掛けても「まだ」であり、「まだ大丈夫」と思っていても「もう駄目」と言うことであれば、早めに「見切る」ことがもっとも必要なことなのではないかと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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