自分で答えを見つけるための思考と行動のプロセスでは、思考と行動のスキルが必要になります。幼稚園児に「おいしいレシピを考えて」と言っても、火が使えなければ無理です。相応の知識や経験、能力がなければ自分で答えを見つけることはできません。しかし、冒頭の小川氏の言葉にもあるように、思考と行動のプロセスを通して自分で見つけた答えは深い理解を伴います。
与えられた答えと見つけた答えでは本人の納得感が全然違います。与えられた答えの場合、納得感がなく拒否反応が現れることもあります。一方、見つけた答えは多数の共感を得ることはできないかもしれませんが、本人にとっては納得感が高く、やる気につながります。
与えられた答えで、納得できないけど従っている状態はストレスになります。与えられた答えを多くの人に受け入れてもらうには万能解であることが求められます。しかし、独裁政権下で暮らす庶民の鬱積が示すように、本来1人1人がユニークな存在である人間が集まった社会が万能解で成り立つとは思えません。与えられた答えがあふれている社会は、どこか不自然でストレスの多い社会です。
万能解を追求しないことで、自分だけのユニークでパーソナルな答えを見つけることができます。自分で答えを見つける作業は創造的な作業です。それは本人の進歩につながる道程です。自主自立を促したいのであれば、当人が自分で自分の答えを見つけられるように準備環境を整えてあげることが大切です。
子ども、生徒、部下など他者の本当の成長を望むなら、与える答えは基本的な知識や情報だけにして、本人が自分で自分の答えを見つけるのを待つことです。冒頭の小川氏も「相手が答えを見つけるのを待つのは忍耐が必要」と言っています。答えを与える方が実は手っ取り早くて簡単なのかもしれません。
答えを与えてやっても、相手の進歩をサポートすることにはなります。しかし、自分で自分の答えを見つけることには喜びがあります。自由と楽しさを感じることでしょう。答えとともに達成感と自信を手に入れることもできます。(安澤直樹)
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