著者プロフィール:家弓正彦(かゆみ・まさひこ)
株式会社シナプス代表取締役。グロービス経営大学院教授。
1959年神奈川県生まれ。松下電器産業でFA関連機器のマーケティングを担当。その後、三和総合研究所を経て、株式会社シナプスを設立。経営戦略、マーケティング戦略を中心としたコンサルティングに従事。同時に、「マーケティング・カレッジ」を立ち上げ、マーケティングに特化したビジネスマン教育事業に取り組む。
大学院のMBAコースでは、いわゆるケースメソッドと言われるプレゼン〜ディスカッション型の授業を行っています。そんな日々の授業の中では、さまざなタイプの生徒がいます。
特に私が務める大学院は社会人向けなので、さまざまな業界の多様なバックボーンを持つ方が多くいらっしゃいます。教員として、各々の生徒のパーソナリティを知って付き合うのはとても楽しく、刺激的な交流ができます。
まあそれはそれとして、大学院教員として「スキルアップ」に携わる立場に立ってみると、常々「伸びる生徒」と「伸びない生徒」っているなあと思います。そもそも、こんなことを偉そうに語れる立場ではないのですが、今日は「伸びる生徒の特徴」を書いてみようと思います。
最初に発言するタイプと、周りの意見を聞いてから後半に追い込むタイプがいます。これも個性ですから、どちらでも構わないのですが、まずは、ちゃんと自己の主張を堂々と発言できることが大事です。必ずしも「最初」でなくても良いですが、誰よりも前向きに自分の考え方を表現する姿勢は重要です。
それによって、周りの生徒にとっての「叩き台」となる可能性もあります。しかし、それが最も本人にとって勉強になると思います。
しかし、自己主張に終始している生徒は、ある意味、学習機会を損失していると思います。大きな声で主張をまくしたてることは、政治家の「演説」の訓練にはなっても、本質的な「考えるチカラ」を鍛える効果は期待できませんからね。
さまざまな他者の意見から学ぶことって大きいんです。人間、誰しもが「思考のクセ」や「独自の視点」を持っていますから、自分とは異なる思考に触れることはとても重要な学習機会です。
それと、もう1つ。「問いを立てる」ことって、とても難しいです。以前「質問するチカラ」というテーマで記事を書きましたが、現実のビジネスの中で、問いかける技術はとても重要で、かつ、ある程度の経験をもとにそのスキルは磨かれていくものと思うのです。
MBAのクラス終了後には、懇親会を行います。私個人的には、できるだけ生徒にも懇親会に出席してほしいです。私の場合、ほぼフル参加です。単に飲むのが好きだからなのですが、それだけではなく、前述の通り、さまざまなバックボーンの方がいますから、とても有用な情報交換の場でもあるわけです。
酒の席のバカ話も、実は業界や会社の固有の現実やカルチャーを知る機会だし、多くの方とのネットワークは重要な情報源ともなります。また、そんな損得勘定だけではなく、自然に社交的で、人と仲良くなれる方は、とても貴重な学習機会を勝ち取っていると思うのです。
そんな飲み会の場の「盛り上げ役」にも2つのタイプがあります。
1つは、自分が話題提供者となって周りを巻き込むタイプ。これは、飲み会に1人は欲しい存在ですね。
もう1つのタイプは、人の話に食いついて、いろいろ引き出すタイプ。こんなタイプの盛り上げ役がいると、いろんな人が主役となって、家弓的にはとても快適な飲み会になります。
まあ、飲み会だけではなく、オン/オフ全てを通じて好奇心を持ってほしいですね。ここで言う「好奇心」とは、人の話に興味を持つことであって、まさに前述の「問いかける」という行為に表れます。そんな好奇心がある人は、生活シーン全てが学びの場になっていくと思います。
総じて、言いたいことは、「インプットとアウトプットのバランスが良い」ということです。
インプットとは、周囲に好奇心を持ち、人の話を好んで聞くこと。アウトプットとは、自分の主張を積極的に表現すること。この両面をバランスよく持つ方は、とてもスキルアップのポテンシャルが高い方だと思います。
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