IT専門誌の契約記者、大手携帯電話会社での新ビジネスの企画やマーケティング業務を経て、1999年にジャーナリストとして独立。ICT技術の進歩にフォーカスしながら、それがもたらすビジネスやサービス、社会への影響を多角的に取材している。得意分野はモバイルICT(携帯ビジネス)、自動車/ 交通ビジネス、非接触ICと電子マネー。現在はジャーナリストのほか、IRIコマース&テクノロジー社の客員研究員。2008年から日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員、モバイル・プロジェクト・アワード選考委員などを勤めている。
日本経済新聞は8月22日、「NTTドコモ、スマートフォン拡充 グーグル携帯など」という記事を掲載した。記事では、ドコモがスマートフォン市場の拡大に合わせて、この分野のラインアップを強化すると書かれており、具体的な調達メーカーとして韓国サムスン電子と英ソニー・エリクソンの名前が挙がっていた。
国内スマートフォン市場が拡大傾向にある。これは一面の事実だ。2008年の実績で見れば、携帯電話・PHSの出荷台数が対前年比で18.7%の減少※となる中、スマートフォンの出荷台数は68%増とめざましく成長しているように見える※※。矢野経済研究所では、2009年のスマートフォン出荷台数も対前年比で30%程度の成長になると予測している。
しかし、この数字には“2つの落とし穴”がある。
1つは対前年比の母数だ。周知のとおり、スマートフォンはいまだ市場で中心的な存在ではなく、対前年比の背景となる前年実績の数が少ない。2008年の実数で見れば、携帯電話・PHSの出荷台数が約4200万台であるのに対して、スマートフォンは約158万台だ。スマートフォン市場の伸び率が高いことは確かであるが、それは新興分野ならではの下駄を履いているからという面を見落としてはならないだろう。
そして、もう1つの落とし穴は「どのスマートフォンが売れているのか」である。誤解を恐れずにはっきりと言えば、「スマートフォンで売れているのはiPhoneだけ」ではないのかということである。
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