米国株が続落、為替も円高を嫌気して「鯨幕相場」も終わり軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年09月03日 15時56分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が軟調、為替も円高となったことから売り先行となりました。外国人売買動向も売り越しと伝えられたことで下値の節目と見られる10200円割れの水準を確かめる動きとなりましたが、中国市場が堅調となったことで中国市場を気にする向きの先物への買いも入り、後場は堅調となる場面もありました。為替も1ドル=91円台をつけたことで達成感もあり、円高も一服となったことで底堅も見られたのですが、「鯨幕相場」を期待した向きの見切り売りもあり最後は若干下げ幅を広げる場面もありました。

 民主党主導の政権に変わると米国ではないけれども「変化」に対する期待から株式市場も堅調となるかと思ったのですが、今週初めの17分間だけの買いで終わってしまいました。選挙前は取りざたされなかったことをマスコミもあえてここで取りざたするようなこともあり、「変化」に対する期待から買っていた人達は肩透かしを食った格好となりました。中には本当に民主党政権に変わることでメリットのある企業もあるのでしょうが、そうしたことを材料視する向きも少なくなってしまったようです。

 最近の株式市場では「何が起きているのか」を理解し、好材料か悪材料かを判断する前に株価の動き、指数の動きに「とりあえず付いて行く」ことが多いような気がします。上海市場を見て先物を仕掛けてくるので、上海市場を見る、つまり、上海市場が「何故上がっているのか」など関係なく、「上海市場が上がっている」ということだけを材料にしてしまっているのです。「本末転倒」と言うかなんというか、目的も手段もわけがわからず、結局儲かればいいというような「博打」のような動きが多いのではないかと思います。

 個別の銘柄の動きでも自分一人が「いい材料だ」と思って買っても誰も気が付かないとその株は上がらないのです。本当に「いい材料」であれば誰もが気が付く前に買っておけば、その後皆が気が付いたところで売ればしっかりと儲けることができます。ただ、誰も気が付かないうちに値動きの悪さを嫌気して売られることも良くあり、だから誰も材料を知っていても皆が動き出すまで動かないということなのかもしれません。そうしたことが繰り返されて、目先の需給だけに振り回される相場が続いているものと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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