鳩山由紀夫とはどういう人物なのか? 世界で広がる波紋藤田正美の時事日想(1/2 ページ)

» 2009年09月07日 07時42分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

 8月30日の総選挙で民主党が地滑り的勝利を収めて(関連記事)、世界の興味は「鳩山由紀夫とはどういう人物か」に集まっている。最初に彼に貼られたレッテルが「反米」だったのは、鳩山氏にしてみれば予想外のことだったのかもしれない。

 もともとは自分がある雑誌に寄稿したものが、要約されて米国の新聞に掲載されたのが始まり。その中に「対等な日米関係」「アジア重視」「普天間基地の移設問題の見直し」「インド洋給油を継続せず」「アメリカ主導のグローバリズム」「ドル支配」といったキーワードがあったのが米政府関係者の間で波紋が広がった理由である。

反米問題がこれ以上広がることはない

 鳩山由紀夫代表を始め、民主党幹部は反米という印象を薄めようと必死であるように見える。もちろん米政府のほうも、鳩山政権が対米関係やアフガン問題でどのような政策を取るのか見極めようとしている。キャンベル国務次官補は、見極めるのに「数週間、あるいは数カ月かかる。われわれは忍耐することが必要だ」と語った。

 その意味では、この反米問題がこれ以上広がることはないだろうと思う。しかし残されている問題はレッテルよりももっと大きいかもしれない。いったい民主党政権とはどのような政権なのか、現在の世界でどのような立場を取るのかが分からないということである。

 もちろん不透明なのは外交だけではないのだろう。内政的にも不透明な部分はたくさんある。バラマキ政策の財源、日本経済の成長戦略(自民党にそれがあったかどうかは大きな疑問だが)、官僚との関係、郵政民営化、公務員改革。様子を見なければならないことは数多くある。

 しかし海外から見れば、よくも悪くも長い間続いてきた自民党政権のような安心感はない。しかも今の世界は「ポスト冷戦」、すなわち米国一極支配の時代ではない。民主党の鳩山代表も書いているように多極化の時代なのである。

 一極支配と多極化とどちらがいいかはそう簡単に言うことはできない。多極化が進めば、日本としてさまざまな場面で旗幟(きし)を鮮明にしなければならないだろうが、国益に沿った判断というものはそう簡単ではない。「自衛隊を外に出すのはダメ」というように簡単に割り切れるものではないのである。

 まして多極化の主役は、ロシアと中国。どちらも日本の隣国であり、関係が難しい国である。豊富なエネルギー資源を背景に大国への復活をもくろむロシアは(関連記事)、米国やNATO(北大西洋条約機構)の勢力拡大を押しとどめ、さらに押し返そうとしている(グルジアへの侵攻がその最たる例だ)。ロシアに対する警戒感はあっても、イラン問題で共同歩調を取らざるをえない米国は、ロシアに対して強硬にはなれない。それでは日本はどうするのか。まさかお祖父さんが仲良くした国だから、孫も仲良くするというわけにはいくまい(もちろんロシアはその関係を利用しようとするだろうが)。

 そして中国。中国のGDP(国内総生産)は近々日本を抜く(もう抜いているかもしれない)。もちろん1人当たりGDPではまだ中国は日本の10分の1とはいっても、世界第2位の経済大国の地位を奪われたというショックは大きいだろう。それだけではない。中国は経済発展を維持するために、世界的に資源確保に乗り出している。それは従来、日本が想定しているようなやり方とは違うやり方だ。そして中国は、世界の権益を確保するために、中国人民解放軍海軍の拡充に乗り出している。初の国産空母の建造をすでに開始した。

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