私たちがトイレに行く理由郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

» 2009年09月17日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

オトコだっていろいろしている

 オンナもすなる化粧をオトコもしてみむとて、公共トイレでは鏡前滞留時間の長い男子が増えている。ヘアクリームを手にあちこちいじり、首を右に左に傾げて、またいじる。オンナ並みに長くないかい、ていうかそろそろどけよ。

 まゆ毛の手入れをじっくりする男子もいる。コンタクトレンズを入れる(これは私)、歯を磨く(できればやめてほしい)、ヒゲをそる(これからデート)、リステリンする(高級トイレオンリー)などなど。

 真偽がつかめない話だが、頭を流しで洗った後、ジェットタオルで髪の毛の水分を飛ばす人がいたとか。手の水滴を吹き飛ばすあの間隔にアタマが入るのだろうか? 紫外線付きだとヘアダメージはないのだろうか? 疑問は尽きないが、男子トイレにも姿見が必要なことだけは間違いないようだ。

 コンサートへ行くため、トイレで仕事着からカジュアルウエアへと着替えをする人も多い。便利なのが女子トイレにある「フィッティングボード」。シンプルな折りたたみの台で、ストッキングはもちろん靴の交換もトイレの床に立たずにできる。男子トイレにも靴下製品の“綿・26cm”なんてラベルが壁に貼ってあったりすることがあるなあ。

 私もうっかり腹を下してパンツを汚してしまった時、泣く泣くコンビニで割高パンツを買い、そそくさとトイレに駆け込み取り替えたことがある。着替えたパンツは厳重にレジ袋に格納して処分した。そういえば「真っ裸にならないと“大”をいたせない」と告白した人もいた。フィッティングボードは必須アイテムになるかもしれない。

フィッティングボード

トイレでモノを食べるな

 「ここで飲食や座り込みをするな」と公共トイレの貼り紙。「住所不定の人たちに向けて書かれたものだな」と以前は思っていた。しかし、それだけではなさそうなのだ。こちらも真偽不明の話だが、大学のトイレにも同じ内容の貼り紙があるという。なぜなら「トイレでランチを食べる大学生」が増えているらしいからだ。

 ひとりランチだと“友だちがいない人”と思われるのがイヤで、トイレにこもってランチを済ますのだとか。不衛生だし不憫(ふびん)だ。ひとりランチだっていいのに。でも私も昔、飛び込み営業がイヤで、訪問先の大きなテナントビルのトイレにこもったことがあった。そこで長いため息をついてから、勢いをつけて“飛び込んだ”。トイレは心のリリーフにもなってくれる。

 そう考えればトイレにある「一歩前に」という貼り紙は、孤独に落ち込む私たちをいましめ、勇気付けるひと言だ。「よし、一歩前に進もう。頑張ろう」という気になる。前に進みすぎてハネてしまっても知らないけど。

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