円高一服、米国株高を受けて大幅高だが金融株が安い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年09月17日 16時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅高となったことから日本市場も買い先行で始まり大幅高となったのですが、昨日と同様に上値の重さを確認すると利益確定売りや見切り売りも多く上値の重い展開となりました。後場も前場の高値を窺うような場面もあったのですが、抜け切れず、金融株が足を引っ張る格好で指数も上げ幅を縮小する場面もありました。相変わらず目先的な需給や先物の動きに振り回されている状況の中で、最後は買戻しを急ぐ動き、持高調整と見られる買いもあって切り返し大幅高、高値引けとなりました。

 新政権発足で一番株式市場に影響があったのが中小・零細企業や個人の借入金の支払いを猶予する法案を提出するという金融担当大臣のコメントでした。銀行株を筆頭に金融株が軒並み大幅下落となりました。また、ダム建設中止が報じられて建設株が軟調となるなど、株式市場への影響としては「マイナス」から始まったようです。実際に新政権発足までは「民主党関連銘柄」などと言って好感する話題に反応していたのですが、実際に動き出すと、今度は悪いことに過敏に反応しているのでしょう。

 もちろん、選挙前には「良い話」しかしないのですから、その政権の方向性をしっかりと見極めておかなければならないということでしょう。悪い話を一気にここで出してもらって、その後は「良い話」に乗る形で物色対象を探してもいいのではないかと思います。「マニュフェスト」を重視するということですから、その中に示されている「環境関連」や「スマートグリッド関連」銘柄などは今後物色の対象となってくるのではないかと思います。

 金融政策決定会合での日銀の方向性も示されましたが、これもまた特に材料視されていませんが、目先的に材料視されないということでも冷酒や親の意見と同じで後から効いてくることも良くあることなのです。新政権や日銀の金融政策の方向性をしっかりと見極め、政策の方向性を見極めることが目先的なコメントや材料に反応して右往左往するよりも大切なことではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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