すぐに打ち解ける必要なんかあるの? コミュニケーションの真実(1/2 ページ)

» 2009年09月25日 10時00分 公開
[増沢隆太,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた)

RMロンドンパートナーズ(株式会社RML慶文堂)代表取締役。東京工業大学特任教授、コミュニケーション戦略家。人事コンサルタント兼大学キャリア教官兼心理カウンセラーで、東工大大学院では「コミュニケーション演習」の授業を行っているほか、企業では人材にも「戦略性」を重視する功利主義的アクティビティを提唱している。


 「コミュニケーション下手」と思っている方、パーティ、得意ですか? そんなわけないですよね。私も大の苦手がパーティと大人数コンパです。初対面の人ばかり集まるような場面、もっとも苦手とする非社交人間です。コミュニケーションを大学院で教えてるのに……。

 アンサーソングに習って、コラム「すぐに打ち解けられる人」になるのの反対を考えてみたいと思います。もちろんそちらのコラムを否定したり、あげつらう目的ではなく、別の視点、コミュニケーションの原則と言う点で考えました。

「伝えるべき情報を、きちんと伝えられるようになる」ことを目指す

 コミュニケーションの指導をしていて非常に良くあることは、「しゃべり下手」と「コミュニケーション下手」を混同する方が限りなく多いと言うことです。特に私の教えている大学は理系&大学院博士課程ということもあり、いわゆるペラペラしゃべれるタイプの学生と言うのは極めてまれです。すると私の「コミュニケーション」の授業では魔法によって、彼ら彼女らを変身させられるのでしょうか?

 変身はできます。しかしそれは「ペラペラしゃべれるようになる」のではなく、「伝えるべき情報を、きちんと伝えられるようになる」ことを目指しているのです。オタクっぽいニイチャンが、授業を受けただけでペラペラのプレゼンができるようになるわけがありません。それで良いのです。理系博士課程学生に、そんなチャチなプレゼン能力は求められていません。

 このことをしっかり理解してもらえれば、もう8割方、ゴールは見えてきます。「伝える」とは、単に一方的に情報を投げることではありません。相手が必ずいるわけですから、いかに相手に受け止めてもらえるか、そうした土壌作りが極めて大切になります。

 そもそも「打ち解ける」って必要なんでしょうか? 大学院の正規授業でコミュニケーションを教えている教官でございますが、私、「打ち解け」下手です。特に苦手なのが外人パーティ。昔は単に英語が分からないから苦手なのかと思っていたのですが、曲がりなりにも英語がちょびっとは理解できるようになってからも、「今日はいい天気だったね、キャサリン」「そうねディラン」みたいな会話の、どこがおもしろいのか全く理解できん! 感は全く払拭できません。良く考えたら日本人同士のコンパや宴会も全く同じでした。

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