「勝ち組」小売り銘柄の一角や金融株が堅調で指数を下支え清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年10月05日 15時55分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株安、特に米雇用情勢に陰りが見えることを嫌気するように軟調となりました。日経平均はファーストリテイリング(9983)が指数を押し上げ、TOPIXは銀行株の買い戻しで指数を下支えして指数だけを見ると底堅い展開となりました。ただ、内容は輸出関連銘柄を中心に売られ、資源株なども安く円高の影響が大きいことを示しています。節目を割り込んだことで先安感が強まり、見切り売りもかさんだものと思います。

 相場を見る上で、「何が起きているのか」を知ることが大切と言う話は以前もしましたが、本日の相場でも市場では「何が起きていた」のでしょうか?指数は日経平均では0.59%ていどしか下がらなかったのですが、TOPIXは0.84%の下落となっています。銀行株が売られすぎの反動もあって堅調となっていたのですから、TOPIXが売られすぎたということではありません。

 日経平均がファーストリテイリング1社で70円以上上昇、その分を考慮すればトピックスと同じ程度の下落となります。つまり、「大幅下落」と言うような状況が3日も続いたことになるのです。ちょうど昨年のこの時期に大きな下落となったことから考えるとまだまだ下げが小さいと思われますし、指数が下落している要因も昨年とは大きく違うということでしょう。ここまでの戻り相場を支えてきた製造業、特に輸出関連銘柄などの先行きに対し新政権の閣僚のコメントなどで懸念が生じ、利益確定売りや見切り売りがかさんだものと思います。

 つまり、昨年はヘッジファンドの持高調整であり、買戻しは入りませんでしたが、今回の売りは目先筋の売りも多く買戻しもあるものと思います。また、ここまで持ち続けた向きが慌てて売っているということでもなく、値ごろ感からの買いも期待されるものと思います。為替も日米の金利差や個人消費の伸びなどを考えても大きく円高や円安に振れ難く、政府高官の発言などで振れても大きな流れにはならないものと思います。したがって、売られている輸出関連銘柄なども値ごろ感からの買いが入る可能性も高く、昨年のようなことにはならないのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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