はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。
※本記事は、「Chikirinの日記」において、2005年9月3日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。
経営学者Robert Earl Kelleyの『The Gold-Collar Worker』(Addison-Wesley刊、1985年)という本を読んだのはもう随分前ですが、そこに書いてあった「ゴールドカラー層が形成される」動きが最近現実になってきたようです。学者ってすごいですね。何十年も前に「世の中がこれからどうなっていくか」を学術的に推測できるのですから。
内容を簡単に説明しましょう。産業革命以降の、第1次産業から第2次・第3次産業への移行期にブルーカラー層とホワイトカラー層が分離しました。昔は大半が農民だったのに、その息子や娘たちは工場に勤める者と、ビルの中で書類仕事をする者とに分かれていったということです。
Kelley氏は「その次の段階として、先進国ではホワイトカラーから、“自分の能力”を自由に売って働くゴールドカラーが分離する」と主張しています。「一方、ブルーカラーは減少するだろう」とも予測してます。今ならブルーカラー層が消えていくというのはよく分かります。日本も工場自体が減り、そこで働く人は大幅に減少しました。中小企業には存在し続けていますが、大企業が巨大工場を国内に多数保有していた時代とは、ブルーカラーの数は大きく異なります。
もちろん、代わりにサービス業・接客業に就く人が出てくるわけですが、これらはアジアからの留学生なしには成り立たなくなっています。すなわち、“日本人”からはブルーカラーが消えていくわけです。先進国の人がブルーカラー的な仕事をしなくなるのは欧州も同じですね。ドイツなどは失業率が15%を超えていても、道路工事や清掃系の仕事はトルコ移民や出稼ぎの人がやるもの、という構図です。
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