米国株安を受けて軟調だが、業績が回復している銘柄も多く底堅い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年10月21日 17時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が軟調となりましたが、その割りには底堅い展開となりました。日経平均はファーストリテイリング(9983)が大幅高となったことで、下げが小さいように見えますが、実質的に軟調といえるのでしょう。日米共に、経済指標は相変わらず芳しくはないのですが、個別の企業業績はしっかりと回復を示しているということで、底堅さも見られるものと思います。

 政治の経済に対する影響はこれまでは比較的少なかった思います。ただ、「政権交代」となってこれまでの仕組みを否定されると業績見通しなども先が読めなくなり、市場は目先の需給に振り回されることになるのでしょう。政権の公約が優先ということもわかるのですが、「経済の拡大」、「景気の回復」と雇用や「生活支援」を切り離してしまっているような気がします。実際の経済活動では全てのお金の流れが結びついているわけですから、その流れをしっかりと見ることも必要なのではないかと思います。

 経済指標が芳しくなくても米国市場が堅調な理由は個別企業が新興国などの海外なども含めて業績が回復しており、企業業績が好調であることから、雇用や個人消費にいずれ結びついて来るものと思われているのだと思います。企業業績が良くなることが個人が良くなること、と言う考え方で、本来日本もそうした考え方が強かったものと思います。

 大手企業の業績が良くなればその従業員や下請け会社のオーナーなどの収入が増え、そして貯蓄も増えるのでしょうが一部は個人消費にも回ってくるのではないかと思います。つまり、本来は決算発表で業績の回復が見られる企業が多くなれば遅れて個人消費も伸びてくるはずなのですが、先行きに対する懸念が根強いことで企業も設備投資やボーナスとしてお金を流すことをしないので、お金の流れが止まり景気が滞ってしまうのです。決算発表が本格化してきますが、今後の企業のお金の使い方に注目してみるといいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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