米国株高や円安に加え、業績回復が示された銘柄が買われて大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年10月30日 16時17分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 昨日とは反対に米国株高や円安を受けて大幅高となりました。ただ、寄り付きからの買いが一巡した後は週末ということもあり積極的に買い上がる動きはなく、好決算を発表される銘柄も散見されましたが特に反応することもなく、指数は小動きとなりました。業績の回復は見られるのですがいっこうに腰のすわったかいが入らず、指数の上値も限定的となっているようです。依然として先行きへの警戒感が根強く、最後まで買い切れない状況には変わりないということのようです。

 決算にはしっかりと反応しているようにも見えますが、相変わらず最後までは買い切れないということで上値も限定的となってしまいました。本日の新聞で「昨日まで3日陰線が続いたので未だ下落が続く」というような記事が出ていましたが、チャート分析などではこうした「誤解」が一人歩きしてしまっているようです。依然からチャート分析の勉強会などでは常に述べていることなのですが、杓子定規にチャートのパターンをあてはめて相場を「外して」しまうことが多いのではないかと思います。

 チャート分析は白黒のローソク足やその並び方ばかりを覚えようとする向きが多く、本当の意味での「分析」が出来ていないケースが多いのではないかと思います。昨日までの陰線が3本並んだというのも月末近くで、持高調整の売りが続いたことの表れであり、買われすぎたことへの反動からの売りではないことや日経平均では所謂「窓」を空けることが少ないのですが、実質的には寄り付きから売られ、その後はあまり動きがない、つまり、本当の意味では「3陰線」というよりは、「三空」に近く、ここで「売り物が出切った」と見ることも出来るのです。

 本日の相場が上昇しているから言うわけではなく、実際に昨日の引け後に件の記事を書いた記者から「3本の陰線で、もっと下がるといっていますがどうですか?」という電話が入り、その場で明日は反発するのではないですか、と述べました。実際に一目均衡表の雲の下限で下げ止まったことや、節目と見られる9800円から9900円水準では売り叩く動きが少なかったことを考えると「3陰線」で売り、と言うことはないものと思います。因みに、「テクニカル分析」のところでも述べていますが、「雲の中での動き」と見ておくのが妥当なのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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