持高調整や信用収縮懸念の売りがかさなり大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年11月02日 08時51分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9712.73▼249.85

<NASDAQ>2045.11▼52.44

<為替:NY終値>90.09-90.15

持高調整や信用収縮懸念の売りがかさなり大幅下落

 前日の大幅高の反動や朝方発表された個人消費支出やシカゴ購買部協会景気指数(PMI)が予想ほどの改善を示さなかったことに加え、金融株に対する悪材料が重なり大幅下落となりました。ファンドの年度末と重なり、持高調整の売りが株式ばかりではなく商品にも見られ、商品市況が軟調となり、ドルも売られたことで下げを加速した面もあるものと思います。実際に企業業績や景気の回復の遅れ、二番底懸念から売られたわけではないのですが、まだまだ経済指標などからも景気回復の鈍さが示されており、手仕舞い売りもかさんだものと思います。

 金融機関への懸念が出るととたんに信用収縮懸念が強まる状況は以前と変わりないようです。信用収縮懸念が出るとすぐにリスクを回避しようとする動き、リスク資産からの逃避が起きるようです。実際に信用収縮となったわけでもないのですが、リスク許容度のコントロールには昨年の暴落以来、過敏になっているようです。持高調整の売りが止まれば底堅い展開となって来るのではないかと思われ、底堅さが見られればリスク許容度も再び上昇となるのでしょう。

 個別にはアナリストが10〜12月期に多額の繰り延べ税金資産の評価減をする可能性があると指摘したシティグループが大幅安、CITグループが早期に連邦破産法の適用を申請すると伝えられて大幅下落となりました。原油など商品市況の下落を受けてアルコアが下落、朝方、予想を上回る決算を発表したのですが、地合いの悪さや原油価格の下落を受けてシェブロンも軟調となりました。KLAテンコール(半導体製造装置)も前日引け後の決算が予想を上回ったのですが大幅安となるなどほぼ全面安、ダウ平均採用30銘柄は全て下落しました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国市場が大幅高となったことや為替が円安に振れたことから買い先行となり、大幅高となりました。ただ、値動きは乏しく狭い範囲で方向感のない展開となりました。好業績を発表する企業が多く見られましたが反応も限定的となるものも多く、朝方発表された失業率が改善していたことにも反応は鈍い状況です。政策面での先行きが不透明なことから好業績のトレンドが続くのかどうか疑心暗鬼で上値を買い上がれないということのようです。

 本日の日本市場は週末の米国市場が大幅下落となったことや為替が急激に円高に振れたことを嫌気して売り先行となりそうです。シカゴ市場の日経平均先物が大幅安となっていることや「飛び石連休」となっていることもあり、週末のヘッジ売りの買戻しも入り難く、寄付きから大きく売られそうです。本格化している決算発表は業績が上振れしている銘柄が多いのですが、政策の先行きが不透明なことから、好決算への反応は鈍く、いったん買われても長続きせずに上値も限定されているようです。ディフェンシブ銘柄、特にインフルエンザ関連銘柄などの底堅さが期待されます。

 再び一目均衡表の雲の下限である9900円水準で下げ止まるのかどうかが注目されます。シカゴ市場(CME)の日経平均先物が9月の安値水準まで下落しており、その水準である9700円水準まで下落となる可能性もありそうです。雲を割り込むことによって調整が長引きそうですが、その場合でも9500円〜600円あたりでは底堅さも見られそうです。

本日の注目点

◇10月の新車販売台数(自販連)

◇10月の米ISM製造業景況感指数

◇決算・4−9月期:ダイハツ工業(7262)、旭化成(3407)、帝人(3401)、マルハニチロHD(1334)、IHI(7013)、川崎重工業(7012)、スズキ(7269)

◇決算・1−9月期:日本マクドナルドHD(2702)

◇決算・7−9月期:米フォード・モーター

◇『2009年11月3日(火)』

◇米連邦公開市場委員会(FOMC、4日まで)

◇10月の米新車販売台数

◇オーストラリア準備銀行(中央銀行)理事会

◇決算・7−9月期:独BMW、スイスUBS

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