業績回復を示す決算発表が多いにも関わらず相変わらず指数の上値は重い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年11月04日 17時08分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 相変わらず目先の需給に振らされながら方向感のない展開となっています。米国での信用収縮懸念からの売りが一段落したものの、足元の業績はしっかりと回復していることで、金融緩和の出口戦略も取りざたされて買戻しや買い直しを急ぐでもなく、方向感のない展開となっています。目先の業績動向や商品市況などの「わかりやすい」材料には反応するものの、先行きの不透明感は拭えず、最後まで売り買い徹底し切れないという状況です。政策の方向性、金融政策の方向性が見えるまでは動き難いということなのでしょう。

 株式市場は相変わらず方向感のない展開となっています。米国市場が動きと寄り付きから大きく動くことも多いのですが、いったん動いた後は指数の方向感が出ることが少ないと思います。今日のように寄り付きから方向感がないと最後まで方向感がないということになるのも仕方がないのかもしれませんが、決算発表が続々と行われ、上方修正となる銘柄が多い割りには指数に動きがないような気がします。

 これも先日来述べているように、ここまでの業績回復の流れが続くのかどうかが見えない、わからないことが一番の要因でしょう。景気対策などで業績が回復したと十把一絡げに見ているものだから、好業績を発表して買われても買い一巡後はすぐに見向きもされなくなってしまうのでしょう。ただ、内容を見てみると、大まかにわけて、「景気対策で上方修正となったもの」、つまり「エコポイント」や「エコカー減税」による恩恵が大きかった自動車株の一部や家電量販店などと「新興国の景気回復」の恩恵を被った、機械株や自動車株の一角、など、また「国内での勝ち組」である、小売りの専門店やインターネット関連の一角などに分けることが出来そうです。

 政策がらみで上方修正となったものはそれこそ「先行きは不透明」ですが、新興国の経済が拡大していることには変わりなく、また、国内での「勝ち組」は「衣・食・住」といった生活防衛での「勝ち組」であり、今後の政策でも大きく変わることはなく、上方修正のトレンドは続くものと見てもいいのではないかと思います。つまり、「森」ばかりを見ていると「木」の成長が見えない、ということであり、ここの相場はしっかりと「木」を見なくてはいけないのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.