失業率が予想を上回って悪化したものの業績回復期待から堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年11月09日 08時32分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10023.42△17.46

<NASDAQ>2112.44△7.12

<為替:NY終値>89.87-89.93

失業率が予想を上回って悪化したものの業績回復期待から堅調

 朝方発表になった雇用統計は失業率が10%の大台に乗せるなど予想以上に悪化したことを嫌気して売り先行で始まったものの、非農業従事者の減少幅が緩和されていることや大手電機株などに投資判断引き上げがあって底堅く、底堅さが確認されると週末の買戻しを急ぐ動きも見られ、堅調となりました。失業率が大台に乗せたことで、雇用の悪化が前倒しとなり、景気回復が早まるのではないかとの見方もあって買い優勢となった面もあるものと思われます。

 経済指標の悪化は続いているのですが、個別企業の業績が底堅く、改善していることから、楽観的な見方になるのでしょう。金価格の上昇などもデフレ懸念を緩和、失業率の増加も予想されたよりも早く増えただけで、その分景気の回復も早まるのではないかと言うような楽観的な見方となっているものと思います。引き続き業績の改善された銘柄などを中心に底堅い展開が続くのでしょうが、クリスマス商戦を見極めるような展開になって来るのでしょう。

 個別には投資判断の引き上げのあったトラベラーズやGE(ゼネラルエレクトリック)が高く、前日の引け後に大幅な増益決算を発表したスターバックスも大幅高となりました。金価格が上昇したことからニューモント・マイニングが買われ、投資判断の引き上げられたメーシーズは大幅高、レナーも堅調となりました。四半期決算で保険料収入の落ち込んだAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)が大幅下落、アメリカン・エキスプレスも軟調となりました。クラフト・フーズやウォルト・ディズニーも週末の手仕舞い売りに押されて軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株が大幅高となったことから買い先行となり、寄り付きから大幅高となったのですが、週末ということで買いが続かず、持高調整の売りがかさんで上げ幅を縮小して引けました。指数に影響の大きな銘柄に買戻しなどもあって日経平均は高いのですが、銀行株などが軟調となったことで、TOPIXは軟調となりました。相変わらず、米国市場動向や決算発表に反応するというよりは、目先の需給に振らされて買い気の乏しい展開となっていました。

 週末の米国市場は注目された雇用統計が芳しくなかったのですが、底堅く堅調となり、日本市場も堅調な展開が期待されます。ただ、為替が円高に振れたこともあり、輸出関連銘柄の上値が重くなるようであれば、指数も軟調となる場面もあるのかもしれません。銀行株など金融株は航空大手の再建問題などもあって少なくとも積極的に手掛け難いものと思います。新興国関連銘柄や内需関連銘柄で業績回復を示すような決算を発表しながら持高調整の売りに押されていたような主力銘柄の戻りは期待してもいいのではないかと思います。

 日経平均は10月安値水準を意識するところでは底堅さも見られ、引き続き9800円絡みの動きが続きそうです。一目均衡表の雲が上値目処となるところですが、雲が上昇となっており、また、遅行線が10月安値水準の日柄に近づいており、調整完了ということで、戻り歩調となる可能性もありそうです。一気に上値追いというよりは10月安値水準を意識するところでの底堅さを確認するような場面がまだあるのかもしれませんが、徐々に景気回復、業績回復を織り込んで、上値の節目である10100円台半ばから200円台半ばの水準=雲のねじれの水準を目指すことになるのでしょう。

本日の注目点

◇決算・4−9月期:NTT(9432)、三越伊勢丹HD(3099)

◇決算・9月期:三菱総合研究所(3636)

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