やはり選挙に有利なのか? テレビに出演する政治家たちは(1/4 ページ)

» 2009年11月10日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 テレビ番組によく出演している政治家は、やはり選挙に有利なのだろうか。先の総選挙で、当選した人の顔ぶれを見ていると、確かにうなずける部分もある。その一方、「よくテレビに出ていたあの人が……なぜ落ちたの」という驚きもあった。

 もちろん政権交代を掲げる民主党にフォローの風が吹いていたため、自民党の大物議員が落選しても仕方がなかったのかもしれない。政治家はテレビ番組に出演した方がいいのか、それとも地元の人との会話を重視した方がいいのか。自民党の幹事長を務めた、加藤紘一氏がメディアと政治家の関係について語った。

※本記事は聖学院大学で行われた講演会(10月14日)で、加藤氏が語ったことをまとめたものです。

八ツ場ダムと子ども手当て

 先の総選挙での惨敗を受け「これでもう……家計のやりくりをする“主婦”の立場から卒業できる」と語った加藤氏。また自民党はつねに与党にいたので「財政的な限界を知っている」というが、民主党が打ち出した政策に対してどのように感じているのだろうか。

加藤 もし八ツ場(やんば)ダムの工事が中止されると、4000億円ほどのお金が無になってしまう。このままではドブに捨てられるようなものだが、全国の無認可保育所に年間300万円ずつ援助すれば、おそらく数百億円で済むだろう。それを20年間継続できるくらいのお金が、八ツ場ダムに消えていくのだ。こういった計算をあまりしてこなかったが、今後はメディアが行っていくべきではないだろうか。

 また中学生以下の子どもがいる世帯に子ども1人当たり月額2万6000円を支給すれば、総額約5兆3000億円が必要になる。この5兆3000億円という金額は、消費税を2%上げてもまだ足りない数字。ちなみに日本の防衛費は年間5兆円に達していないが、この防衛費と子ども手当てを比べたメディアはあるのだろうか。もし子ども手当てを実行するのであれば、所得制限を設け、受給者を2割ほど減らせばいい。それだけで1兆円のお金が浮く。そしてその1兆円のお金を、奨学金などに回してみてはどうだろうか。

 日本の奨学金は「お金を貸してあげるから、将来返しなさい」という制度。しかし世界的な流れを見てみると、受け取った奨学金は返す必要がない。もし日本でも、1人当たり200万円ずつ返済なしの奨学金を与えれば、どのくらいかかるだろうか。おそらく1兆円は切るだろう。こうした議論をメディアもやらないといけないが、全く進んでいないのが現実だ。

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