米国株の大幅高を受けて買い先行で始まるも上値も限定的清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年11月10日 17時15分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株の大幅高を受けて買い先行で始まり、一時大幅高、堅調とはなりましたが、上値も限定的となりました。相変わらず持高調整の売り買いが中心で物色対象などにはっきりとした方向感が出るわけでもなく、目先の需給に振り回されていることには何ら変わりはないようです。決算動向に敏感に反応しているようにも見られますが、長続きはせず、あくまでも目先的な売り買いが中心となっているようです。

 米国株が大幅高となったことから、買い先行で始まり、一時大幅高となりましたが、米国株が上昇した理由がG20での低金利政策継続が好感されたものであれば、日本市場で何故昨日反応出来なかったかということになりそうです。米国ではヘッジ売りなどの買戻しもあったものと思いますが、それだけ市場に対する信頼があるということなのでしょう。今朝の新聞のコラムにも「金融社会主義」と言う言葉で、現在の金融政策に対する批判が掲載されていましたが、実際に日本株式市場が投資対象から「外れて」来ているのではないかと思います。

 とは言っても、この市場のなかでしっかりと「投資」をして収益を上げることを考えなければなりません。現状では株式投資という名でまるで賭け事でもするかのように小手先のテクニックばかりを取りざたする動きと、逆にいかにも難しそうな言葉や数字をならべて、投資判断だ、目標株価だと御託宣のようにあがめるような動きなどもあり、本来の、従来の「投資」と言う考えが薄れているのではないかと思います。もちろん右肩上がりの経済成長というわけにはいかず、従来の経済情勢とは違うのでしょうが、「将来とても利益の出る、大きな会社になるだろう」と言って投資をするようなことは少なくなっているのではないかと思います。

 政策の先行きが見えないからなかなか買い切れないと言うこともあるのでしょうが、個々の企業を見ていると政策頼み、政府頼みではなく、しっかりと将来を見据えて投資をしたり、中長期的な成長を考えているような企業もあるのではないかと思います。そうした企業が見つからないから苦労するのかもしれませんが、目先の利益ばかりではなく、長い目で見て投資収益が回収できるような企業を改めて探してみてもいいのではないかと思います。昨年からの波乱の中で、会社の方向性の良し悪し、先見性なども見えた部分もあるものと思われ、方向性のしっかりした会社に投資をしたいものです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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