予想を上回る機械受注への反応も鈍く、買い気の乏しい展開が続く清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年11月11日 16時23分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は底堅く堅調、朝方発表された機械受注は予想を大きく上回り、昼の時間に伝えられた中国の経済指標も好転を示しているにもかかわらず上値の思い展開となりました。相変わらず政策の先行きが不透明ということで、市場参加者も増えず、買い気に乏しく盛り上がりに欠ける展開となっています。決算発表も続々と行われているのですが、反応も限られており、為替が動いても、債券市場が堅調でも全く反応はありません。持高調整の売りが出切るまで、あるいは政策の一つでも成就するまでは動けないということなのでしょう。

 業績回復が鮮明になり、経済指標(機械受注)も予想を大きく上回ったにもかかわらず、売買高が低調なことや日経平均の上値が重いことが新政権の政策が不透明だから、と言うことがようやく話題になり始めました。このコラムでは既に選挙前から指摘していたことであり、「今に始まったことではない」のですが、漸く市場で話題になり始めたということはそろそろ逆に、その新政権が「何も出来ない」「何も始まらない」ことを織り込む動きとなりそうです。

 株式相場では人より「半歩だけ先を行くこと」が一番と以前にもこのコラムで述べましたが、その為には大きな流れをつかんでおく必要があるでしょう。今回の事態も民主党が「マニュフェスト」を掲げる以前から、本当にそんなことが出来るのかどうか?と疑問に思い、実現性を考えて見ればわかることであったと思います。だからこそ、株式市場では総選挙で「民主党勝利」が判明してからは「17分間」で新政権に対する期待を織り込み、その後は「失望感」を徐々に織り込んでいるということなのでしょう。

 ところが、今度は来年の参議院選挙に向けて政府は「失望」をもう一度「希望」に変える必要があり、これまで「大衆受け」する施策を掲げていたものを「外国人受け」するものや「投資家受け」するものにも広げる必要が出てくるものと思います。したがって、株式市場を浮揚させるような(実現性は別にして)施策をぶち上げる、あるいは「失望」していた大衆受けする施策を一つでもやり易いところからおおげさにぶち上げてくることになると思います。政策に乗った銘柄でいったん失望感から外されたような銘柄を再度物色してもいいのかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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