am/pmはファミリーマートに転換――コンビニ業界は3強時代へ会見詳報(2/5 ページ)

» 2009年11月14日 10時40分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

新たなエンジンが必要

 ファミリーマートの上田準二社長とエーエム・ピーエム・ジャパンの本多利範社長がスピーチを終えた後、ファミリーマートの加藤利夫常務が買収の背景や目的について説明した。

ファミリーマートの加藤利夫常務

加藤 まず、コンビニエンスストア業界を取り巻く環境ですが、店舗数が4万店を超え、競争激化の中で高質店の出店余地が年々減少してきています。また、2008年のタスポ導入による売り上げ増加も一巡して、消費環境も厳しさを増す中、今後のさらなる成長に向けて新たなエンジンが必要な段階になってきたという認識を持っています。

 当社はこれまで国内7600の店舗網を構築するとともに、既存店の活性化に経営資源を注力してきました。しかし将来の成長を考えた時、企業体質をさらに強化することが不可欠です。業界の中でのポジショニングを高め、事業パートナーである加盟店とともに成長していくことを実現していかなければならないと考えています。

 このような環境下、本件の実施によって当社はエーエム・ピーエム・ジャパンの1000店規模の店舗を一体化。首都圏を中心とした店舗網の拡充でシェアを拡大し、スケールメリットを獲得します。また、物流や情報システムなど事業インフラを統合することで、効率化を図っていきたいと思っています。

 エーエム・ピーエム・ジャパン株式の取得価格は120億円です。株式取得に先立って、レックス・ホールディングスがエーエム・ピーエム・ジャパンに増資する予定で、当社はこの増資を前提にレックス・ホールディングスからエーエム・ピーエム・ジャパンの全株式と全貸付債権を取得します。12月24日には株式取得の完了、2010年3月をめどに両社は合併していきたいと考えています。吸収合併を受けて、ファミリーマートへのブランド統合を予定しています。


 エーエム・ピーエム・ジャパンのチェーン全店売上高は1516億円、平均日商は47万8000円、営業利益は6億円です(2008年12月期)。10月末の地域別店舗数を見ると、関東圏では862店、中でも東京23区内に529店舗を有しています。特に昼間人口が集中する千代田区、中央区、港区、新宿区、品川区、渋谷区において、高いシェアとなっています。

 10月末現在、エリアFC※を含む国内店舗数はファミリーマートが7601店、エーエム・ピーエム・ジャパンが1119店で、単純合計では8720店となります。本件を受けて、ファミリーマートでは今後早期に国内9000店の体制を整えて、激化する競合他社との出店競争に勝ち抜いていきたいと考えています。

※エリアFC……フランチャイズを展開する企業が、ほかの事業主にフランチャイズ権をライセンスしたもの。フランチャイズ権を受託した企業は、本部に代わって加盟店の開発や運営を行うが、商品、サービス、システム、ノウハウといった企画の開発は、基本的に本部で行う。

 関東圏(1都6県)の店舗数を見ると(8月末時点)、ファミリーマートは約2700店、エーエム・ピーエム・ジャパンは約850店舗で、合算すると約3600店。特に最大のマーケットの東京都では、ファミリーマートがシェア2位、エーエム・ピーエム・ジャパンは5位ですが、合算するとシェアは30%を超え、トップチェーンとなります。そのほか、神奈川県、埼玉県、千葉県など首都圏のシェアを拡大できることは、本件の最大の魅力であると考えています。

 エーエム・ピーエム・ジャパンは関西、九州地区で地域の有力企業をエリアFCにして、共同でチェーン展開を進めています。(合併によって)関西地区では店舗数シェアが22%から24%に、九州地区では24%から27%にそれぞれ上昇します。


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