am/pmはファミリーマートに転換――コンビニ業界は3強時代へ会見詳報(4/5 ページ)

» 2009年11月14日 10時40分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

交渉の経緯は

 債務超過に苦しむエーエム・ピーエム・ジャパンは、2月にローソンが145億円で買収することでいったん合意した。しかし、am/pmの商標権を持つ米エーエム・ピーエム・インターナショナルがブランド名の存続を求めたため、5月に破談していた。質疑応答では、交渉の経緯や今後のM&Aの方針などについての質問が投げかけられた。

出典:ローソン

――春にも青い看板のコンビニエンスチェーン(ローソン)が似たような話をされて失敗しましたが、その時にはam/pmのライセンス(商標権)の問題が障壁となりました。今回はライセンスの問題をどのように解決されたのでしょうか?

上田 ちまたでは青い看板のチェーンがライセンスの問題で交渉成立しなかったと言われています。しかし、私は先ほど申しましたように、「コンビニ同士の統合はワンブランドが基本だ」という考えのもと、関係者、特にエーエム・ピーエム・インターナショナルの方々と相当の時間をかけて水面下で話をしてきました。それについては、ブランド統合という形で合意に達したとご判断いただきたいと思います。

――当初の交渉はファミリーマート筆頭株主の伊藤忠商事が主導していたと思うのですが、最終的にファミリーマートだけがこの席にいるという形になった経緯を教えてください。

上田 最初、伊藤忠商事に(エーエム・ピーエム・ジャパンから)お話があった時、私たちは伊藤忠商事がファミリーマートのブランドを1つのグループとし、am/pmのブランドをもう1つのグループにすることが可能だろうと判断していました。したがって、伊藤忠商事が当初、このお話をお受けした時、私たちは人的な支援やファミリーマートが持つインフラノウハウの資源を提供しましょうというスタンスでした。側面からお話に参加したということです。

 ところが突き詰めていくと、コンビニエンスストアの経営ノウハウの問題、人材の問題などを考えると、伊藤忠商事にはかなり厳しいという状況になってきたために、私たちが前面に出て、エーエム・ピーエム・インターナショナルやアドバンテッジパートナーズ、レックス・ホールディングス、エーエム・ピーエム・ジャパンとお話しするようになりました。私たちが単独でこのディールをやろうとしたのはほんの数カ月前からです。

――「M&Aではワンブランドが基本だ」と繰り返されましたが、改めてなぜワンブランドでなければならないのか教えてください。

上田 中食工場の統廃合、物流の一本化もありますが、多店舗展開をしていると、どうしても店舗に対するIT投資が巨額になってきます。そうした時に1店舗あたりのITコストをダウンさせていくためには同じブランドの方がいいわけですね。ITシステムそのものがチェーンオペレーションのノウハウで、FC経営の中身とも連動してくるので、これが別々だと店舗改装の投資が効率的でなくなる、ということがあります。また、事業部や関連会社という形で、違ったブランドでやっていくと、本部機能が別々に必要となるのでコストが高くなります。

 エーエム・ピーエム・ジャパンの加盟店やエリアFCの各社が、ファミリーマートのブランドに一本化されない間は、ファミリーマートの商品を売ることができないと思います。ですから、統合を進めていく段階で、一本化があまり進まなければ、その分だけお互いのシナジーが薄くなっていくと考えています。

――当初はローソンさんと交渉していて、その後破談するなど、交渉が長引いたことはオーナーやお客さまにどういう影響を与えていたのでしょうか。業績悪化に影響しているのではないでしょうか。

本田 発注して販売するというような流通業界では、短期的には店の人々のやる気が一番業績に影響すると思います。私は(6月に就任したため)その時代に全部詳しいわけではないのですが、そういったことは事実としてあったと思います。

 だから私は就任してすぐに加盟店のオーナーさんたちと小集団で何回も説明会を開いて、「商売を一生懸命やっていこう」と言って手を握って、クリンネスや接客に努めたのですが、やはり売り場が荒れてしまった結果、お客さまから見て魅力のない店になってしまったという現実はありました。ほかのコンビニチェーンと違って、システムの問題や商品力など、流通としての基本のところに問題がありました。しかし逆に言えば、ほかのチェーンに比べて、伸びしろは大きいということだなと私は思っています。

――2012年2月までに約600店舗の改装を実施、と資料にありますが、これはプロパー店舗を指しているのでしょうか。また閉鎖する店舗はどのくらいになるのでしょうか?

上田 約600店舗の改装というのはおっしゃるとおりエーエム・ピーエム・ジャパンのプロパー店舗の改装です。お引き受けする店舗のうち、先ほど本田社長がおっしゃった伸びしろを計算しても本部、加盟店とも営業利益が出ないと判断されるお店は閉鎖していくことになります。その店舗数がは250プラスアルファと想定しています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.