米国株高への反応は鈍く、持高調整の売りに押されて軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年11月17日 15時53分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 日本市場はかなり重症と言えそうです。先週の機械受注統計、鉱工業生産指数、そして昨日のGDP(国内総生産)が上振れし、米国株が大幅高、金利も低下し、為替は若干円高とはなったもののまだまだ「もみ合い」の範囲で落ち着いており、9月までの決算動向を見てもしっかりと回復、改善が見られるという状況にあっても株価が上がりません。散発的に材料に反応して上昇となる場面はあるのですが、長続きせず、まるで株式を保有していることが悪いことであるかのような雰囲気です。

 毎日、BRICsの株式指数や商品市況のチャート(一目均衡表)を更新しているのですが、多くのチャートが上の枠をはみ出して目盛りの変更を余儀なくされています。そうした中で日本だけが「デフレ」などと言って、株価もいっこうに上昇となりません。株価も物価も「萎縮型」のデフレスパイラルに陥っているのではないかと思います。そうしたなかで、本来であればここは思い切って財政の出動を仰ぎ、デフレスパイラルを止め、逆回転させなければならないでしょう。

 「お金を使わずに貯めることが美徳」であるかのように、「派遣切り」だ「金持ち優遇」だと正義の味方ぶっている政策は実は逆ではないかと思います。実際に「エコポイント」をつけるだけで、あれだけ薄型テレビが売れ、「エコカー減税」で自動車が売れ、「高速道路1000円」でETCが品切れになり、高速道路が大渋滞するわけですから、こうした消費を喚起するような財政出動が必要なのでしょう。公共事業でも全て無駄、というわけでもなく、雇用を創出しているものもあり、地方の活性化に繋がるものもあり、ある程度の「無駄」から生まれる経済効果も評価してもいいのではないかと思います。

 そうは言っても完全に「デフレだ!」と騒いで萎縮してしまっているのですから、少なくとも「内需」で儲けるにはよほどの努力が必要であり、パイが大きくならないのであれば小さなパイのなかで、シェアを拡大している一握りの企業しか、投資の対象として魅力がないということになります。また、国内では仕事がない、ということで海外へ出て行く企業も増えてしまうでしょう。投資対象と見るにはそうした、国内での一握りの勝ち組あるいは国内ではなく海外で活路を見出している企業しかないということでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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