住宅指標の悪化を嫌気する動きや利益確定売りに押されて軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年11月19日 09時53分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10426.31▼11.11

<NASDAQ>2193.14▼10.64

<為替:NY終値>89.29△0.06

住宅指標の悪化を嫌気する動きや利益確定売りに押されて軟調

朝方発表になった10月の住宅着工件数が予想を大きく下回ったことやハイテク銘柄に投資判断の引き下げも見られたことから、利益確定売りを急ぐ結果となり、軟調となりました。それでも目先的な利益確定売りが一巡すると最後は買戻しなどが入り下げ幅を縮小するなど引き続き底堅い動きとなっており、楽観的な見方が多いようです。引き続き商品市況が堅調なことから、リスクマネーの動きには変化がないものと見られ、金利が上昇しても売り急ぐような動きはありません。商品市況高も経済指標が芳しくないことでインフレ懸念を打ち消し、企業業績に底入れ感が出ていることで、スタグフレーション懸念が薄れているものと思います。

 引き続き米国市場はリスク許容度が上昇、投機的な資金は回転が効いているようです。債券が売られる場面もあり、影響があるかと思われましたが、特に商品も売り急ぐ動きはなく、景気回復を織り込むということで、指数は軟調ながらも底堅い展開となっています。今後も経済指標の底堅さが確認できるかどうかというところで、経済指標が更に悪化するようであればセンチメントにも変化が出てくるものと思います。ただ、資金の回転が効いているうちは日本市とは逆に目先の需給要因だけでも堅調な地合いが続くことになるのでしょう。

 個別には投資判断の引き下げのあったリサーチ・イン・モーション(RIM)が軟調、前日までの下落の反動からバンク・オブ・アメリカが大幅高、JPモルガン・チェースやアメリカン・エキスプレスも堅調となるなど金融株が総じて買われました。キャタピラーやボーイングなど景気敏感銘柄は利益確定売りに押されて軟調、ホーム・デポやウォルマート・ストアーズは買戻しもあって堅調となりました。シェブロンやエクソン・モービルなど石油株、ニューモント・マイニングなど金鉱株は商品市況が引き続き高いことから、利益確定売りをこなし、続伸となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が堅調、為替も落ち着いていたにもかかわらず売られ、一時大幅下落となるなど軟調な地合いとなりました。外国人が売り越しと伝えられたように相変わらず持高調整と見られる売りが多く、また、増資を懸念して見切り売りがかさむものもあり、銀行株などを中心に売られました。主力銘柄だけではなく小型銘柄にも見切り売りがかさみ東証マザーズ指数などは連日の大幅下落、TOPIXも7月の安値を下回る場面があるなど全面安となる場面もありました。

 米国市場とは関係なく動いているような感じで、本日もまだ持高調整と見られる売りが続くのかどうか、など需給要因が気になります。増資ラッシュを懸念する動きはまだまだ続くものと思われ、業績回復が鮮明になっているなかでも買戻し以外に買いが入り難く上値も限定的となりそうです。海外で商品市況が堅調なことから、商社株や石油関連株、非鉄株などは買い直される可能性もありそうですが、買い気の乏しいなかでは大きな値動きは期待出来ないかもしれません。政策の先行き不透明感も拭えず、好材料にも反応し切れない展開はまだ続くものと思います。

 TOPIXに底堅さが見られるのかどうかが、指数では注目されるところです。昨日も市場では「TOPIX先物に仕掛け的なまとまった売りが出た」などと、下落要因を分析していましたが、特にそうした事実があるわけでもなく、それだけTOPIXベースでの動き、つまり、日経平均に影響の大きなファーストリテイリングや値がさハイテク銘柄などよりも銀行株などの動きが気になるということでしょう。日経平均は引き続き9600円から700円を下値に10000円を意識する水準では上値が重くなりそうで、TOPIXはかろうじて引け値で850を保ちましたが、本日もこの水準を保てるのかどうかが大いに注目されます。TOPIXが堅調となれば、底入れ感が出て売られ過ぎ銘柄や割安銘柄を慌てて物色する場面も見られるかもしれません。

本日の注目点

◇日銀政策委・金融政策決定会合(20日まで)

◇9月の全産業活動指数(経産省)

◇9月の景気動向指数改定値(内閣府)

◇10月の粗鋼生産速報(日本鉄鋼連盟)

◇10月の全国百貨店売上高(日本百貨店協会)

◇欧州中銀(ECB)定例理事会(フランクフルト)

◇決算・4−9月期:東京海上HD(8766)、三井住友海上GHD(8725)、損保ジャパン(8755)、あいおい損保(8761)、日本興亜損保(8754)、ニッセイ同和損保(8759)◇決算・8−10月期:米デル

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.