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» 2009年11月30日 08時00分 公開

上杉隆×窪田順生「ここまでしゃべっていいですか」:取材現場では何が起きているのか? 新聞記者と雑誌記者に違い(5) (2/3)

[土肥義則,Business Media 誠]

窪田 そうなんですよね。

上杉 この記者クラブの体質は、日本の一般企業と同じ。例えば上司が家に帰るまで、部下は会社に残って仕事をしなくてはいけない――。それと同じで、デスクやキャップが家に帰らないと、記者クラブを離れることができないんですよ。

窪田 報道の世界は日本的であってはいけないのに、すごく日本的な社会で仕事をしていますよね。

新聞記者にとって一番怖いのは特オチ

ジャーナリストの上杉隆氏。

土肥 窪田さんの場合、雑誌で記者や編集の仕事をしていて、その後、朝日新聞に就職されました。記者クラブがない世界から記者クラブがある世界に移ってみて、どのように感じましたか?

窪田 さきほども申し上げましたが、記者クラブは日本の一般企業と同じ体質で、県庁の人が帰るまで記者は帰れません。もちろん朝日新聞だけではなく、ほかの新聞社の記者も残っていますね。

上杉 要するに抜かれちゃいけないというマインドが強い。新聞記者にとって一番怖いのは特オチ※。スクープをとるよりも、減点主義なので特オチをすると評価が下がってしまう。

※特オチ:他社が一斉に報じているのに、1社だけ後れを取ったケース。

窪田 特オチをしたあとに、もしスクープをとったとしても“チャラ”にはできない。特オチをした時点で、「記者としての資質がなっていない」という評価をくだされてしまう。だから役所の職員が帰るまで、記者クラブに詰めていないといけません。夕方の5時までは記者クラブに詰めていて、その後「よーいドン!」といった感じで、それぞれの記者が独自取材を始めます。

上杉 記者クラブにいる人たちって、いろいろなことを自分たちで規制しているんですよね。例えば「そこに行ったらダメですよ」とか。

窪田 取材対象の幹部の人に言われているんでしょう。「あそこの家に行って、取材はしないように」とか。「ルールを守ってください」などと言われるんですが、ルールって言われてもなあ……みたいな。

上杉 なんのルールだよっ! お前たちのルールだろっ(笑)。

 僕が記者会見に入っていると、「記者クラブのルールを守れ」と言われてしまう。しかし記者クラブから排除されている人間なのに、なぜ自分たちのルールを押し付けるのかが理解できない。じゃあ、いつも会見に入れろというと、「それはできない」という。入れないということは自分たちの世界とは関係のない人間なのに、会見の席にいると「ルールを守れ」と言ってくる。本当に狂っている。

窪田 僕の場合、雑誌で記者クラブの外側にいた。しかし朝日新聞で働くことによって、記者クラブの内側に入れることができました。内側に入ってみて、一番驚いたことは規則が多いこと。記者クラブの中にはボードがあって「この記事は○時に解禁」とか書いてあるんです。しかし不思議なことに、記者はそれにきちんと従っているんですよね。ある人からは「それは絶対に破っちゃダメだからね」と言われてしまった。

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