先週末の大幅下落の反動や為替の落ち着き、経済政策期待から大幅反発清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年11月30日 15時55分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 さすがに売られ過ぎの反動から大幅反発となりました。「ドバイ・ショック」と言われましたが、少し反応しすぎたということなのでしょう。米国市場が休場となっている間の「ショック」であり、昨年の「リーマン・ショック」と同じ様な感覚で反応してしまったのでしょう。先週末も述べたように、「ドバイ・ショック」と言うよりもやはりこうした「ショック」に対する危機管理能力が今の政府には欠けているということが先週末の大きな売り要因であったような気がします。

 欧米が絶対と言うことではないのですが、例えばFRB(米連邦準備理事会)であれば、昨日のような「ショック」に対して問題ありと見たら何らかのコメントなり行動があるものと思われます。今の日本政府、金融当局はいかに歳出を減らすかということしか頭にないような感じです。仕事の出来る出来ないの判断はいかに先が読んでいるかということやいくつもの事象を同時に把握し、連携させてそれぞれの事象をベストの状態に持っていくということではないかと思います。

 そした点では今の政府は(以前の政府がいいとも言えませんが)同時に処理する能力も先を見る力もないような気がします。「ドバイ・ショック」は一昨年からの「サブプライム問題」と決定的に違うのは「いくらの損失になるかわからない」ということではなく、損失の規模や損失を被る企業、金融機関が把握できるということです。いずれにしても、「バブルが弾けた」ということではあるのですが、世界的な影響はそんなに大きなものでもないと思います。

 そうは言っても資金の流れの良くない日本市場ではちょっとした資金の停滞も気になるところではあるのですが、為替も落ち着いており、安心感が出ているものと思います。米国でも「ドル安メリット」で輸出企業の業績が良くなれば、国内の個人消費や雇用が改善し、内需が拡大すると今度はドルを高くすることでメリットが大きくなるのですから、ドル安メリットを享受した後は今度はドル高をメリットを享受することになるものと思います。日本の「デフレ」を考えても、極端に長期的に円高にはなり難いのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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