後場から一転、金融緩和期待が強まり大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年12月01日 16時16分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 前場引け直後に臨時の日銀金融政策決定会合の開催が伝えられました。金融緩和期待から円安に振れ、債券も株も買われ、大幅高となりました。ようやく日銀も重い腰を上げたということで、このコラムが伝えられる頃には内容も報じられているのでしょうが、国債の買い入れだけではなく、ゼロ金利と量的緩和などが行われ、政府も予算凍結の解除や財政出動などを同時に発表すれば、相場も底入れとなるものと思います。

 デフレ対策も遅きに失したと言う印象もありますが、どの時点でもデフレ対策を行うというスタンスを示すことは大切なことではないかと思います。企業業績が回復途上であり、ここではカンフル剤はいらず、栄養剤やしっかりとした食事があれば健全な体に戻るということではないかと思います。したがって、日銀と政府がしっかりと現状を認識し、資金の流れを確保し、必要なところに必要なだけお金が流れるように出来れば「子供手当て」など問題にならない生活向上の効果があると思います。

 まだまだ、政策面での先行き見通しがはっきりとしたわけでもないのですが、少なくともデフレを防ぐ施策は株式市場では好感されるものと思います。後は資金の流れが良くなったということで、誰もが資金の流れを滞らせることがなければ相場付きも大きく変わって来るものと思います。海外市場に比べて大きく出遅れている日本市場だけに割安感の強い銘柄を中心に戻りが期待されます。

 金融緩和策が決定したとしても後はその施策を受けて、どれだけ企業が、個人がお金を使うことが出来るかということです。お金を使うことが悪いことだというような風潮がありますが、実際にはお金を使うことで雇用が増え、賃金が増えるのです。自分だけがお金を使わずに収入だけが増えるということもあるのでしょうが、それは一部の人間が使わなかった場合にだけ言えることで、皆が使わなければお金は流れず、お金が流れないということは不況になってしまうのです。いずれにしても日銀だけではなく政策面からの金融緩和、景気刺激策が望まれます。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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