お菓子から化粧品、ノートまで――賢いサンプルの配り方とは?郷好文の“うふふ”マーケティング(1/3 ページ)

» 2009年12月03日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・実行、海外駐在を経て、1999年より2008年9月までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。 2008年10月1日より独立。コンサルタント、エッセイストの顔に加えて、クリエイター作品販売「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『ナレッジ・ダイナミクス』(工業調査会)、『21世紀の医療経営』(薬事日報社)、『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など。2009年5月より印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン


 ここ数日、サンプルづいている。「Jabra STONE」(携帯電話の通話用ヘッドセット)、「ナレッジストック/KNOWLEDGE STOCK」(メモとノート)、そして「みどり豊」(お米)。いずれもサンプル(試供品)を手に入れた。

 先月当コーナーで記事を書いた“手ぶらで通話ができる”Jabra STONE。「製品発表当日にお持ち帰りいただくことはできませんでした」という手紙が添えられ、後日“実機サンプル”が送られてきた。市販価格は1台1万数千円もするのに。

 ナレッジストックは、ニフティのコマネタのモニター募集に当選した。つまみ食い系文具マニアな私、記事やブログのネタにするため日々情報を収集中。その熱意が通じたのだろうか。

 そして10合のお米は、食シーンに敏感な相棒cherryさんから教えてもらった無料試食キャンペーンに応募したもの。SOHO(Small Office Home Office)ならぬ、SOKO(Small Office Kitchen Office=オフィスで自炊)を実践するわれわれには福音だ。ほくほく。

サンプルって……微妙

 先端デジタルデバイス、文具の新商品、そして生きる糧のお米。“懸賞生活”ならぬ“サンプル生活”。もちろんそれだけでは生きられないが、サンプルがお得なことは間違いない。ここ数日、耳にJabraを付けて手ぶらで歩き、普段使っているノートは一時休んでナレッジストックを使い出し、炊きたてのお米をいただいている(どうやら冷えてもおいしいという)。

 「無料なら」という消費者のアケスケな欲求と、「売るために配る」という売り手の下心のハザマにあるサンプル。そもそもの構造からして微妙なのだが、「売りたいのか」、それとも「広めたいか」によって配り方は違う。もらう方も、予想もしなかったか、もらいたくて手を伸ばしたのかによっても感想は違う。

 サンプルは無料でも、条件があったりする。Jabraに同梱された手紙には「貴紙誌面でご紹介いただければ」、ナレッジストックでは「記事はニフティのコマネタより投稿してください」、みどり豊は「アンケートにお答えください」。サンプルには狙いが付きものだ。サンプル配布主の誠意を感じる心優しき私、果たして意見にブレは出ないだろうか?

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